マツダなど3社が自動車用バッテリーを共同開発 始動用の12Vリチウム品

 マツダ(社長兼CEO・小飼雅道氏)、エリーパワー(社長・吉田博一氏)、宇部興産(社長・山本謙氏)の3社は15日、車載用12ボルトリチウムイオンバッテリーに関する共同開発契約を締結したと発表した。従来の鉛バッテリーと代替可能で、高温や衝撃に対する安全性、耐久性の高い自動車始動用12ボルトリチウムイオンバッテリーの共同開発を進め、2021年までの実用化を目指す。

 自動車用バッテリーは欧州を中心とした環境規制における鉛の使用禁止、燃費改善に向けた軽量化などの課題に対応するため、従来の鉛バッテリーに代わるリチウムイオンバッテリーの実用化が期待されている。ただ、バッテリーが主に搭載されるエンジンルーム内の高温や衝突時の衝撃に耐えるリチウムイオンバッテリーの開発は難しく、これまでは限定的な採用にとどまっていた。今回、課題解決に向けて、3社それぞれの強みを生かした共同開発を進めていく。

 マツダは、業界に先駆けてSKYACTIV技術開発などで培ってきたモデルベース開発(Model Based Development)の最新手法を駆使するとともに、電池内部の化学反応をモデルベースリサーチで研究。高性能な次世代バッテリーを車全体でマネジメントする技術の確立、およびその汎用モデルの開発を担当する。

 エリーパワーは、定置用や二輪車始動用の電池開発に実績がある。二輪車始動用のリチウムイオンバッテリーは、その安全性と性能が評価され16年より国内大手二輪車メーカーにも採用されている。低温下での動作性や耐衝撃性、防水性等を備えた安全性の高い電池技術の蓄積を生かし、電池の基本設計と開発を担当する。

 宇部興産は、リチウムイオン電池の主要部材である電解液とセパレータで事業を展開。この分野のリーディングカンパニーとして、電池性能の向上と用途拡大に貢献している。高性能な電解液は、電池の寿命改善、高電圧化に伴う高容量化や安全性向上など、さまざまな改良と改善を実現してきた。これまでのノウハウと技術開発力を生かし、引火点が高く、より高温に耐え得る電解液の開発を担当する。

 三社による共同開発は、世界的な環境規制の動向を踏まえ、従来の自動車始動用鉛バッテリーを代替する次世代バッテリーとしての幅広い活用、安心・安全な車社会の実現に資することを目指している。

 将来的には、この共同開発で培った技術をベースに、自動車始動用以外の電動化技術へ適用可能な低電圧系(24ボルト/48ボルト)のリチウムイオンバッテリーへの発展など、さまざまな分野での協業を検討していく。

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