【あなたは何しに?】ライコネンの元レースエンジニアがWEC移籍決定後もフェラーリで働く理由

 F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねる連載企画。今回は、昨年までキミ・ライコネンのレースエンジニアを務めていたデイビッド・グリーンウッドだ。 

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 新しいシーズンに向けて、キミ・ライコネンのレースエンジニアが交代するというニュースは、すでにウインターシーズンから流されていた。昨年までライコネンのレースエンジニアを務めていたデイビッド・グリーンウッドが、WEC世界耐久選手権に参戦しているマノーに移籍するからだ。

 だが、開幕戦のメルボルンには昨年まで務めていたデイビッド・グリーンウッドの姿があった。しかも、フェラーリのチームウエアを着ていた。いったい、何しにメルボルンへ来ていたのだろうか。

「ああ、私がWECへ行くのは本当だよ。でも、WECが開幕するのは5月のベルギーからだから、まだ時間がある。それまではフェラーリに残って、新しいレースエンジニアをサポートするんだ」

 グリーンウッドに代わって、今年からライコネンの担当レースエンジニアに抜擢されたのは、イタリア人のカルロ・サンティ。昨年までライコネンのビークルエンジニアを務めていた人物だ。

 ビークルエンジニアとは、テレメトリーで送られて来たデータを精査し、正しい方向にセットアップする助言をレースエンジニアに伝えるスタッフで、ほかのチームではパフォーマンスエンジニアと呼ばれている。

 つまり、サンティはフェラーリの中で最もライコネンのセッティングをよく知る人物なのである。

 なお、フェラーリの広報によれば、グリーンウッドがフェラーリを離れる理由は「家族との時間を大切にしたいという本人の意思を尊重した」という。またグリーンウッドが移籍するマノーは、イギリスのチームで、現在チーム代表を務めるジョン・ブースとグリーンウッドはマノー・マルシャ時代に一緒に仕事した関係でもある。

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