『腐女子のつづ井さん 3』つづ井著 永遠なんてないからこそ

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 お父さん、突然ですがクイズです。巷でよく聞く「腐女子」とは、どんな人を指す言葉でしょうか?

……残念!正解はこちらです。

腐女子

読み方:ふじょし

 男性同士の恋愛や性的関係を扱った作品に対する嗜好を示す女性。男の子同士のいけない関係を好む女子。もともと「婦女子」をもじった言い方とされる。(実用日本語表現辞典より)

 ですって。というわけでこの物語は、腐女子であるつづ井さんと愉快な仲間たちの、愉快な日々を描いた漫画です。

 いやー楽しかった。感動すらし、いやしなかったな。でも楽しかった。だってみんなバカなんだもん(もちろん褒め言葉)。

 女4人で男役と女役に分かれて合コンしたり、アニメの登場人物男子二人を脳内でセックスさせてみたり、

 架空の彼氏から貰ったプレゼントを馴れ初めとともに紹介する地獄の祭「恋人がいそうなクリスマス選手権」を開催したり、知育菓子作りに失敗したり、仲間の一人の誕生日を祝うため、主賓がお風呂に入っている間に皆で正装しパジャマで出てきたホッカホカの主賓と一緒に手作りのすごろくをしたり……。

 いやーすごい。こんな楽しいことをしている人達がいるなんて!ずるい!自分で自分を楽しませるって大事だなって思ったし、発想もすごくないですか。と思う一方で、ちょっと気になるのが、腐女子仲間のエピソード以外、出てこないこと。まあ「腐女子の~」ってタイトルにあるくらいだから不思議ではないけど、でも毎日仕事して職場の飲み会行って、ごはん作って食べて、公共料金払って、そういうのがほとんど出てこない。好きな人だけしか登場しない。排他がすごいな。それ腐女子の習性なの?わかんないけど。

 印象的だったのは、つづ井さんの家でお泊まり会をしている時のこと。

「皆~今何時だと思う?」とつづ井さんが訊くと、「夜の12時!?」「まだそんなにでしょ、10時くらい?」「8時半!!」と口々に答えるシーンがある。つづ井さんの手にはスマホがあり、その待ち受けに出ているのは明け方4時32分。ただそれだけのシーンなのだけど、「皆この楽しい時間が永遠に続いてほしすぎて希望を言い出」しているのだ。

 本当はわかっているのではないか。楽しいことを思いついては片っ端からやりまくるこの日々にも、終わりが来る。だからこそ全力で遊びまくっているのではないだろうか。そう思うとこの作品のもつバカバカしさまでもが、違った風に見えてくる。この物語は、日々を全力で遊び倒す若者達の明るく平和な物語だが、同時にすこし切なくも見えてくる。

……って言いながらこの人ら、来世でも同じことしてる気がするんですけどね。初対面で「前世からの友人たちこんにちは」ってやべーこと言ってる子、仲間の中にいたもんな。永遠を意味するウロボロスをデザインしたTシャツ作ってたしな。「ZENSE」って書いたお揃いのパーカーも作ってたしな……。

 永遠はないのかも知れないけど、この人たちのことだから意外に叶っちゃったりしてね。

 まあ、こんなヤバイ人達がこんなに一堂に会するなんてほんと奇跡っつうか、前世でどんだけ得積んできたんだよって思いました。せっかくだからこのまま突っ走って命の限り遊び尽くしてほしいなと思う次第であります。と同時に、我らももっと自分の人生を楽しいものにできる余地はあるのかもしれませんよ、お父さん!

(KADOKAWA 950円+税)=アリー・マントワネット