寺山修司のエッセーに画家16人が挿絵

シチズン商事の社内報に掲載された寺山のエッセー15編を、新進気鋭のイラストレーターらによる挿絵付きで収録した新刊本「時をめぐる幻想」

 約50年前、シチズン商事(現在はシチズン時計に合併)の社内報に掲載された青森県出身の劇作家・寺山修司(1935~83年)のエッセー15編が、気鋭のアーティストによる挿絵付きの新刊本として刊行されることになった。時計をテーマに縦横無尽に筆を振るう寺山の世界が現代風の挿絵で鮮やかによみがえり、関係者の評判は上々。寺山を長年研究し、同書に序文を寄せた青森大学の久慈きみ代教授は「新たな挿絵で寺山の文章が生まれ変わった感じ。若い世代にも楽しんでもらえると思う」と期待を寄せた。

県近代文学館の佐藤館長(左)に「時をめぐる幻想」を手渡すシチズン史料室・坂巻室長

 寺山のエッセーは、67~70年発行のシチズン商事社内報に計27回掲載され、自筆原稿の一部は県近代文学館(青森市)が所蔵。伊坂芳太良(よしたろう)や井上洋介ら当時の著名なイラストレーターが挿絵を担当し、時計をテーマにした物語やセールスの心構えをつづっている。

 新刊本の挿絵は、鉛筆画で有名な小川香織さん、耽美(たんび)的な作風の山本タカトさんら現代の作家16人がそれぞれのエッセーの世界観に合わせて書き下ろした。絵は1編ごとに見開きの紙面いっぱいに描かれ、文章を読まなくても楽しめるデザインになっている。

 巻末では、作家たちがそれぞれの挿絵の制作意図や寺山への思いをつづったほか、社内報に掲載された寺山の未公開作品「セールスマン博物誌」12編も収録。帯には作家の江國香織さんが「こわいほどの才気なのに、ひそやかでなつかしい。」と推薦文を寄せた。

 23日は、シチズン史料室の坂巻靖之室長らが県近代文学館を訪れ、佐藤宰館長に新刊本を贈呈。佐藤館長は「寺山の文章は挿絵が入るとまた違った魅力が引き出される。いずれは原画と自筆原稿を並べた展覧会を開催できたら」と語った。

 新刊本の書名は「時をめぐる幻想」で、シチズン時計の子会社「東京美術」から4月上旬発売予定。価格は2484円(税込み)。

【2018年3月24日(土)】

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