坂本龍一さん「必要性、今もあるのか」 石木ダム予定地を訪問

 音楽家の坂本龍一さん(66)が25日、長崎県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設予定地を訪れ、住民らと対話した。長崎市内であったトークセッションでは「ダムの必要性が今もあるのか。一度決めたことを変えない公共事業の典型例と感じる」と疑問を呈した。

 石木ダム賛否の討論会開催を目指す市民グループ「#いしきをかえよう」実行委が招いた。

 坂本さんは、反対地権者13世帯が暮らす川原(こうばる)地区を訪問。地権者の案内で石木川周辺を歩き、公民館では1982年に県が行った強制測量の記録写真に見入った。長崎市内では、地権者らの暮らしを描いたドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」の上映後、ジャーナリストの津田大介さん、パタゴニア日本支社長の辻井隆行さんと登壇し意見を交わした。

 坂本さんは「町や人々が行政による施策の犠牲になる構図は近代ずっと続いてきた」と指摘。津田さんは「石木ダムの問題は原発や米軍基地とも通じていて、これからの日本の未来をどうしていくのかという問いを突きつけている」と述べた。

地権者の案内で石木川を視察する坂本さん(手前)=東彼川棚町岩屋郷

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