印タタ、ブーシャン買収 JSW抜き印最大手へ

 インド高炉大手のタタ製鉄は23日、印同業のブーシャン・スチールに対する買収提案が銀行団から承認されたと発表した。売買は独占禁止当局による認可を条件としているが、実現すればJSWスチールを抜き印鉄鋼最大手へ浮上する。

 ブーシャンはモディ政権が推進している国営銀行の不良債権処理の一環で、倒産・破産法を申請し再建手続きに入っていた。一方、タタは欧州事業をティッセン・クルップと統合させ、本拠の印事業に経営資源を集中させる考え。規模拡大に向け、ブーシャンの買収に手を挙げていた。

 タタは印国内でジャルカンド州のジャムシェドプルとオリッサ州のカリンガナガールの2カ所で高炉一貫製鉄所を操業している。印事業の粗鋼年産は約1300万トンで、2月にはカリンガナガール製鉄所を今の年産300万トンから800万トンへ増強する投資計画を決めた。ブーシャンはオリッサで500万トン規模の高炉一貫製鉄所を持ち、ニューデリー近郊のサイババッドとムンバイ近郊のコポリにも下工程工場がある。

 タタのライバル・JSWは印事業の粗鋼年産が約1600万トンで、JSWの規模拡大がなければタタはブーシャン買収により印最大手となる見通しだ。

 インドでは過剰債務を抱えた複数の鉄鋼大手が倒産・破産法のもとに入っており、新日鉄住金がアルセロール・ミッタルと共に買収を計画しているエッサール・スチールもその一つ。ブーシャンはエッサールより早く再建手続きが始まり、タタへの売却選定が先行して決まった格好だ。

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