米通商拡大法232条発動、世耕経産相「引き続き適用除外要請」

 米国政府は現地時間23日、通商拡大法232条(国防条項)に基づく鉄鋼、アルミ製品への上乗せ関税措置を発動した。米政府は先週末、新たにEU(欧州連合)、韓国、ブラジルなどを暫定的に除外すると発表。日本は適用除外とはならなかった。世耕弘成経済産業相は23日の閣議後会見で、「引き続き対象からの除外をアメリカに粘り強く働き掛けていきたい」と述べ、国別除外の実質上の期限となる4月末まで、あらゆるチャンネルを使い米側に除外を求めていく考えを示した。

 新たに除外となった国・地域で、EUについては報復関税措置を示唆したことが、暫定除外につながったとの見方もある。この点に関しては世耕経産相は「日本企業への影響を十分に精査した上で(日本は)WTOの枠組みの下で必要な対応を検討していきたい」と述べ、WTOのルールに沿った対応をとる考えを重ねて強調した。

 米国が一部の主要相手国に対し暫定除外を決定したことで、鉄鋼の国際貿易が著しく乱れる事態は当面、避けられそうだ。特にブラジルは年間400万トンの半製品・スラブを米市場へ輸出しているが「これが宙に浮くことはなくなりそう」(日本の高炉メーカー)。ブラジル材が還流する可能性が遠のき、今後もアジア市場ではスラブ不足が続く見込み。

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