金属行人(3月27日付)

 電炉メーカーのコスト構造が大きく変化してきている。原料の鉄スクラップ価格が3万5千円以上の高値水準が続いているだけでなく、4月から電極、耐火レンガ、合金鉄など副資材価格が一段と上がる。製品などの輸送費も人手不足や物流量の拡大を背景に上昇している。それにこれは毎年のことだが人件費も上昇する▼電極は従来の2~3倍のトン100万円以上が見込まれているほか、耐火レンガや合金鉄も20~30%値上がりする見通しだ。いずれも中国の電炉生産増などが背景にある。輸送費も値上がりだけでなく、内航船やトラックの手配に苦慮する状態が続いている▼副資材や輸送費を合わせたコスト上昇分は「製品1トン当たり3千~4千円は確実。工場によっては5千円近くになるケースも出そう」とある電炉メーカーでは試算している。3千円強として月3万トン生産するメーカーでコスト増分はざっと月1億円になる▼電炉鉄筋メーカーはこの1~3月、ほとんどが赤字と言われている。製品価格の引き上げが遅れ、スプレッドが大幅に悪化しているためだ。メーカーは「スプレッドはトン3万円は必要」と言ってきたが、4月からはトン3万3千~4千円以上ないと赤字を続けることになる。

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