FGT、コスト高止まり 車軸摩耗対策は一定めど 国交省報告  

 九州新幹線長崎ルートに採用予定だったフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の開発を巡り、国土交通省は27日、専門家による技術評価委員会を同省で開いた。複数の課題のうち、車軸の摩耗は対策に一定のめどが立ったとしたが、コスト削減は昨年7月の前回評価委の時と変わらず、一般的な新幹線の1・9~2・3倍と高止まりしたままとなった。
 FGTは、開発の遅れで2022年度の長崎ルート暫定開業時の先行車導入や25年度の量産車による全面開業が困難な状況。与党検討委は、在来線特急と新幹線を乗り継ぐ「リレー方式」後の運行方法として、全線フル規格とミニ新幹線を軸に考えているが、一方で同省は、FGTの開発自体は続けていく方針。
 この日の評価委では、摩耗対策として車軸に施すメッキを従来の2・5倍の厚みにして強度を高めた検証結果を同省が報告し、委員から「特に問題はない」と評価された。同省は疲労強度を検証する試験を7月ごろまでに行い、検証走行試験などを経て、実用化に向けた耐久走行試験につなげたい考え。ただ、これらの開始スケジュールは評価委で議論にならず、実用化は不透明なままだ。
 コストの圧縮も見通せず、同省は「現時点で下げられる要素を見いだせない」とした。
 結果を受け、JR九州は「安全性の確立が第一。車軸の摩耗対策は引き続き細心かつ万全に対策を立案し、解決するべき」と指摘。中村法道知事も「実用化に向けては、なお多くの課題が残っている。国に対しフル規格整備の必要性を引き続きしっかり訴えていく」とのコメントを出した。
 同省はFGTと全線フル、ミニ新幹線の収支採算性などを比較検討し、30日に与党検討委に結果を示す予定。

FGT開発を巡る技術評価委であいさつする国交省の担当者=同省

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