【非鉄流通のいま】〈村田洋白商店〉伸銅品中心に幅広い商材 若手の早期育成に注力

 村田洋白商店はりん青銅や洋白をメーンに扱う非鉄金属問屋。創業者・村田千代松氏は、1872年に創業した合資洋白会社で洋白など金属素材の販売に従事。同社は戦時下の企業整備によって廃業を余儀なくされたものの、戦争終結後の1946年に全商権を継承した村田洋白商店が日本橋に開業した。

 伸銅品を中心に幅広い材料を扱うが、販売比率はりん青銅35%、洋白15%、ベリリウム銅10%、黄銅製品20%でその他が20%。メーンの仕入れ先では清峰金属やJX金属、日本ガイシ、サンエツ金属、三井住友金属鉱山伸銅、水野ハンディー・ハーマンなどの材料をヒモ付き顧客中心に供給。そのほかステンレスやハイニッケル材、チタンステンレスなどの材料も顧客の要望に応じて提供することが可能だ。

 昨今のりん青銅の需給は納期が半年を超えるまでタイト化しており、村田洋白商店でも在庫量が縮小傾向にある。こうした中、長年取引関係にある仕入れ先からの調達を強化し、既存ユーザーへの安定供給に努めている。また「在庫が薄く、引き合いをいただいても対応し切れない」(村田敦常務)という新規ユーザーに対しては、代替材などの提案で今後の商いにつなげる取り組みを進めている。

 りん青銅や洋白のイメージが強い同社だが、「顧客の求める製品は幅広く対応していく」(同)というスタンスで営業を実施。最近では黄銅棒の販売数量が伸びている。こうした素材販売の拡張を進める一方で、「付加価値を高めた加工品の販売にも注力する」(同)考えも示す。既存の協力会社ネットワークを活用してセンタレスや伸線、メッキといった機能を強化していく方針だ。

 今後の課題については「スムーズな世代交代」(同)と明快。若手とベテランはそろっているものの、中堅層が少ない現状を鑑み、若手の早期育成がカギとなる。「ベテランが若手に対しアドバイスできるムードが社内にできている。ベテランの持つノウハウを皆が共有できる仕組みづくりに注力していきたい」(同)。(遊佐 鉄平)

会社概要

 ▽資本金=2520万円

 ▽所在地=東京都中央区日本橋本町1―6―13

 ▽社長=村田謹一郎氏

 ▽電話=03―3270―1561

 ▽主な扱い商品=りん青銅、洋白、ベリリウム銅などの伸銅品や高ニッケル合金、チタンなどの素材や加工品

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