那覇の詩歌碑説明板設置に寄付呼び掛け 川崎県人会

 那覇市にある詩人・作詞家佐藤惣之助(1890−1942年)の詩歌碑に説明板を設置しようと、一般財団法人川崎沖縄県人会(川崎市川崎区中島)が寄付を呼び掛けている。現在の川崎市川崎区出身で沖縄との絆を強めた惣之助の功績を伝えるのが願い。県人会長の比嘉孝さん(70)は「惣之助の沖縄への愛情を次世代に伝えたい」と話す。

 碑は那覇市との友好のため川崎市民によって1959年5月、首里城跡に建立。首里城復元に伴い92年、観光コースから外れた虎瀬公園に移設されたが、訪れる人はあまりいないという。

 碑を観光客が多く訪れる首里城公園へ移設しようと那覇市民らが2015年1月に「佐藤惣之助詩歌碑の移設を考える会」を設立。10年以上前から移設活動に取り組む会長の山川宗徹さん(79)は「碑は訪れる人もなく放置されたまま。歴史や文化を後世に伝えるために多くの人が訪れやすい場所に移し、意義を示す説明板を造りたい」と話す。

 山川さんらの呼び掛けに応じ、川崎沖縄県人会や川崎市観光協会などが「サトウソウノスケの会」をつくり昨年秋から寄付を募っている。説明板では建立の経緯や惣之助の沖縄への思いを解説するという。

 「阪神タイガースの歌」(通称「六甲おろし」)の作詞を手掛けたことでも知られる惣之助は、沖縄本島や慶良間(けらま)諸島などを旅し、大正期に「琉球諸島風物詩集」を著した。陶芸家の濱田庄司(1894−1978年、現在の川崎市高津区出身)が陶板を制作した碑には、「しづかさよ 空しさよ この首里の都の宵のいろを 誰に見せやう 眺めさせやう」と刻まれている。

 山川さんらは、碑の首里城公園への移設を求める那覇、川崎両市民ら千人超の署名を集め、那覇市議会に陳情を提出、昨年10月に採択された。今年6月の同市議会で、移設が正式に決まりそうだという。

 説明板設置の寄付は100万円が目標。問い合わせは、川崎沖縄県人会電話044(233)8584。

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