九州新幹線長崎ルート全線フル規格 佐賀負担1000億円超 国交省試算、工期は12年

 九州新幹線長崎ルートの運行方法を全線フル規格にした場合、追加費用が5千億円以上かかり、そのうち佐賀県負担が1千億円を超えるとの試算を国土交通省がまとめたことが28日、分かった。これまで佐賀県は自己負担を約800億円と見積もり「現実的でない」と強く反発してきたが、それを上回ることで実現のハードルが上がりそうだ。
 工期は他県での整備新幹線の実績を踏まえて約12年と設定していることも判明。工事実施までの手続きには、駅やルートに関する詳細な調査と環境アセスに計5年以上かかると見込んだ。費用対効果は投資に見合う「1」を大幅に上回り、経済性では他の運行方式より優位に立つという。
 一方、ミニ新幹線の工期は整備方式によってばらつきがあり8~18年。新鳥栖-武雄温泉間には450カ所以上の橋梁があり、架け替えが大きな課題となる。工事期間中に単線での運行やバス代行輸送が必要になる場合もあり、JR九州は難色を示している。
 フリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の工期は約9年。摩耗対策などの課題を克服し、技術開発が順調に進んだ場合でも長崎ルート導入は2027年度半ばとなる。
 国交省はこれらの試算結果を30日の与党検討委員会に報告。検討委が具体的な整備方法を協議する。

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