グループ会社の品質不正問題、三菱マテが再発防止策公表

 三菱マテリアル(社長・竹内章氏)は28日、グループ会社5社で判明した品質不正問題に関する特別調査委員会の最終報告書と再発防止策などを公表した。課題と指摘されたガバナンス体制の強化策としては「ガバナンス統括本部」の設置などの体制整備や、グループ内のコミュニケーションの向上を図るなどの改善策を実行する。竹内社長は同日開いた記者会見で「お客様や株主など関係各位に深くお詫びを申し上げる」と改めて謝罪した。

 再発防止策としては、ガバナンスの取り組み方針や年間計画を管理・推進する「ガバナンス審議会」の新設や、管理部門の機能強化及び事業部門との連携強化を図るため、「ガバナンス統括本部(CSR部、安全・環境部、品質管理部および経営監査部で構成)」の発足などを決めた。今後はグループ内の経営幹部に対する教育の拡充や部門間・親子会社間・子会社内の人材交流の促進なども図る。

 また、グループのガバナンス体制強化策の整備・運用状況の監視と監査の実効性強化策として同社監査役と子会社常勤監査役との連携強化、現行の内部通報窓口に加え、同社の常勤監査役を窓口とする相談窓口の新設なども行う。さらにグループのガバナンス体制の強化策の着実な実行とその状況確認を行うため、部門横断的な組織としてグループガバナンス強化推進本部も設置する。

 調査報告書では、今回の問題の原因として縦割り組織の弊害や子会社管理の不十分さ、コンプライアンス体制・意識の不足、受注に対する工程能力や検査・品質保証体制が不十分であることなどが課題として指摘された。また、追加調査による結果として新たな不適合品出荷事案も明らかになった。

 新たに判明したのは三菱アルミニウムで5社、立花金属工業で32社、ダイヤメットで40社。

 今回の問題を受け、同社は代表取締役の報酬を一部返上することを決めた。返上額は、会長、社長が月額報酬の全額、副社長、専務が月額報酬の30%。返上期間は4月から3カ月間。

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