熱処理変形シミュレーション、山特がシステム開発 原因特定や対策立案可能に

 山陽特殊製鋼(社長・樋口眞哉氏)は29日、特殊鋼を使った自動車部品の油焼入れ工程などで発生する熱処理変形の原因特定や対策立案を可能にする「熱処理変形シミュレーションシステム」を開発したと発表した。

 同システムを活用して特殊鋼販売先である自動車部品メーカーなどに、ギアやシャフトなど自動車部品の形状精度向上など熱処理変形抑制に向けた対策を提案していく。

 ギア、シャフトなど自動車の動力伝達部品は、耐久性・高精度・静粛性など多岐にわたる機能が求められ、部品製作工程で油焼入れ・冷却など熱処理が施される。その際に発生する熱処理変形の解消が課題になっている。

 山特の開発したシステムは、実験とコンピュータシミュレーションで構成。実部品を焼入れ実験し、ラボで不均一な変形を再現し、部品内および部品間の複数箇所での温度測定や高速度カメラ撮影による結果と、同社保有の鋼材データベースを組み合わせたコンピュータシミュレーションで不均一変形の原因を特定。さらに油流れ・流体解析シミュレーションを経て実部品製造での熱処理変形抑制に向けた対策を提案できる仕組み。

 同社では現中期経営計画の中で、研究開発・品質競争力の強化を推進しており、同システムなど技術開発を通じて顧客ソリューション営業を展開している。

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