【三菱マテリアル・グループ会社の品質不適切行為】〈会見要旨〉竹内社長「スピード感・危機感持ちガバナンス強化」 最終報告・再発防止を説明

 三菱マテリアルは28日、品質に関するグループ会社の不適切行為について都内で会見。竹内章社長、小野直樹副社長らが、特別調査委員会がまとめた最終報告や再発防止に向けたガバナンスの強化策を説明した。併せて三菱アルミニウムや自動車用機械部品子会社のダイヤメット社で新たな不適合品が発見されたことも公表した。会見要旨は次の通り。

――最終報告が公表されたが臨時品質監査は終了していない。

小野「特別調査委員会による調査範囲は不適切行為のあった三菱アルミ・立花金属・ダイヤメットなどで、今回の最終報告はその調査について特別委員会として見解をまとめたもの。119の製造拠点を対象とした臨時品質監査は91拠点まで進んでおり、最終的なところまで確認する予定。海外拠点含め4月中旬には完了したい」

――臨時品質監査で品質管理手法に問題があった事案が確認された。

小野「一部不適切な検査データの扱い、顧客の規格を逸脱したものがあったが安全性などは確認し、解決済の内容。事案の広がりなどを勘案し具体的な公表はしていない。ただ改善は進める」

――ダイヤメット社では前社長が親会社の監査に対し隠ぺいを図っていた。

竹内「前社長は不適合品の存在認識以降も親会社に報告しなかった。自ら改善したいと判断したようだが、それは誤りだ。今後はグループ全体のガバナンスを強化したい。その中で特に重要なのはグループ内のコミュニケーション改善や経営陣・社員の教育。その徹底で不適切行為を二度と起こさない」

――組織として不正を許容する文化があったのでは。

竹内「5子会社で不適切事案があったことは重く深刻に受け止めている。ただ当社グループ全体にこのような行為を許す体質があるわけでは決してない。91拠点で監査が終わり5社のような事例は発見されていない」

――再発防止のためのガバナンス強化策は本当に機能するのか。

竹内「調査委員会で解明された事実関係と原因に基づき策定した。グループの総力を挙げ有効なものにする。ガバナンス統括本部を設け、関連する部署を一括して連携を強化するなどしている」

――ガバナンスに関する組織体制ではどのような改変を。

小野「安全・環境や品質管理などガバナンスに関連する四つの機能をガバナンス統括本部の傘下に収めて監査を強化するほか、年間の計画を議論して承認するガバナンス審議会を設ける。さらにガバナンス強化推移本部を立ち上げ各部門や拠点の活動をフォローする」

――竹内社長の処遇を報酬返上にとどめたのは。

竹内「今回の事態を総合的に分析し役員会で協議を重ねたほか、取締役会で社外役員の意見も聞きつつ決めた。グループ全体でガバナンスを迅速かつ確実に強化し、今回のような問題を決して起こさないようにするのが経営陣の使命。私が陣頭指揮を執り全役員が粉骨砕身で実行する。社長就任直後から風土改革で組織間の壁を低くする施策に力を入れたが、特別調査委員会から不適切事案を早期発見できなかったことに対し、ガバナンス強化のスピード感に欠けていたと指摘された。今後はよりスピード感と危機感を持ち取り組む」

――不適切行為を防げなかった責任は。

竹内「ダイヤメットでは適時適切な報告がなかったが各社から報告を受けてからは適切に対応してきた。最初の伸銅社と電線社の事案判明から対策本部を設置し、各社と連携して取り組んだ。その後も特別調査委員会を設け事実関係の究明と原因の把握に努めてきた。原因は事象ごとに異なるが経営陣は究明された全課題を解決し健全な経営に戻すのが責務」

――不適切行為の業績面での影響は。

小野「18年3月期では今回の影響で約20億円のマイナスを見込んでいる。このほか調査費用などで約40億円が一時的にかかる。来期への影響はまだ精査していないが安全確認の進展に合わせ、一時的に落ちた受注が回復している傾向もみられる」

――調査報告書で課題と指摘された資源配分の方法についてはどう改善するか。

小野「ガバナンス再構築に必要な投資をする。併せて生産設備が老朽化したまま更新投資が見送られていたという指摘があったので、そこにも対応したい」

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