金正恩氏「専用ベンツ」に隠されたトップシークレット

北朝鮮の金正恩党委員長が中国を訪問した際、北朝鮮から専用車のベンツを持ち込んだと韓国の聯合ニュースが報じた。金正恩氏が普段乗っている専用車両だとしたら、このベンツにはある「秘密」が隠されているかもしれない。

金正恩氏の「トイレ問題」

聯合ニュースによると、金正恩氏が中国で乗ったベンツは、ナンバープレートがないベンツSクラスで、普段北朝鮮国内で乗っている防弾仕様の同一の車両とみられるという。

専用車両を持ち込んだ理由として、「最高指導者が移動する際には、専用ベンツであるべき」という金正恩氏のプライドがあるのかもしれない。そもそも金正恩氏はクルマにはひときわコダワリをもっている。平壌市民の間でも、金正恩氏のクルマ好きは知られており、「夜中にこっそり専用ベンツに乗って平壌市内をドライブしている」という噂まであるほどだ。

さらに、金正恩氏は専用ベンツに乗らなければならない理由がある。それはトイレ問題に関わることだ。

金正恩氏が北朝鮮国内を移動する際、最高水準のセキュリティで守られていることは言うまでもない。最も警備上の問題となるのがトイレ問題。外部のトイレを使うことは絶対にありえず、専用車両にある代用品を設置しているというのだ。

氏が2月に訪韓して、韓国の文在寅大統領に手渡した親書が収められたファイルに同様の国章があることから、やはり金正恩氏専用ベンツと見て間違いないようだ。

トイレ問題だけでなく、金正恩氏は中国に持ち込むほど専用ベンツに愛着を持っているのだろう。最高指導者になる前の2010年初め頃には、高速道路で追い越され、ブチ切れたという噂もある。この時は愛車のメルセデスベンツS600を運転していたという。中国に持ち込んだSシリーズの専用ベンツと同一の車両なのか気になるところだ。

金正恩氏が、夜な夜な平壌市内をドライブしているのは、日頃の執務のストレスを発散させるためかもしれない。ただし、せっかく専用ベンツを持ち込んだにもかかわらず、さすがに北京市内で走り屋をするわけにはいかなかったようだ。

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