イチローには「脱帽するしかない」 MLB最多1406盗塁名手が語る「鉄人」の凄さ

アスレチックスなどで活躍したリッキー・ヘンダーソン氏【写真:編集部】

メジャー歴代最多1406盗塁ヘンダーソンが語るイチローの凄さ

 6年ぶりにマリナーズに復帰したイチロー外野手は、29日(日本時間30日)の開幕戦インディアンス戦で聖地セーフィコ・フィールドに“凱旋”。超満員の観衆から大歓声で迎えられた。メジャー18年目のシーズンを迎えた背番号51について、「メジャーリーグ史上最高のリードオフマン」と呼ばれる伝説の名手は「彼の仕事には脱帽するしかない」と称賛。「年齢なんて関係ない」と現役続行にエールを送っている。 

「自分はいつだってイチローには一目置いているんだよ。彼は日本からメジャーにやってきて、アメリカン・リーグでプレーした。彼はメジャーでも活躍できる実力を証明したんだからね」 

 こう語ったのは、現役時代にアスレチックスなどで活躍した元外野手のリッキー・ヘンダーソン氏だった。メジャー歴代最多の1406盗塁を記録。盗塁王に12回輝いたレジェンドは、45歳を迎える2003年シーズン(誕生日は12月)に現役を引退していた。 

 この日、本拠地エンゼルス戦でファン投票によるアスレチックスの歴代レジェンド50人を称えるイベントに登場した「盗塁男」は、リードオフマンとして躍動してきたイチローの力を認めている。 

「彼は偉大なリードオフマンだ。1番バッターがすべき、全ての能力を持っている。まず出塁することだ。偉大な素晴らしいヒッターだ。彼には足もある。いろいろな局面を作り出すこともできるんだ。彼がここまでやってきた仕事には、脱帽するしかない。彼はこのスポーツに素晴らしい貢献をしてきたんだからね」 

 2009年に有資格1年目で殿堂入りを果たした名手もイチローに最大限の敬意を払っていた。10月に45歳の誕生日を迎えるイチローは今年、奇しくもヘンダーソンが現役を引退した年齢を迎えたが、メジャーでのプレーと年齢は別問題だと、レジェンドは力説する。

イチローは「依然としてメジャーでできる」、「年齢は時に忘れるべき」

「彼は44歳だが、依然としてメジャーでプレーできる。私は年齢というものは時に忘れるべきことだと思うんだ。いかに自分の体をケアするか、コンディションをキープするか。いかに相手に対抗できるかが大事なんだよ。同じ流儀で競争できるなら、年齢なんか関係ないよ。彼は未だにフィットしてる。自分の身体を維持し、素晴らしいコンディションを示している。彼は精密で素晴らしい日々の鍛錬を積んでいる。未だに素晴らしいヒッターじゃないか」 

 ヘンダーソン氏は加齢に抗い続けるイチローを心から称賛していた。イチローはマリナーズの復帰会見で「少なくとも50歳まで現役続行」を改めて明言したが、「少なくとも50歳? ワハハハ! それは最高のアイデアだね」と大喜びしたヘンダーソンは、真顔に戻ってこう続けた。 

「メジャーでも最も偉大な選手というものは自分らしさを貫く、そして、野球を楽しんでいるんだよ。純粋に楽しんで、野球を愛しているんだ。そうやってどんどん年齢を重ねていくんだね。我々もそこまでプレーしたかったよ。彼はチャンスを与えてくれる球団がある限り、粘り続ければいい。それは素晴らしいことだ。プレーを続けてほしいよ。何歳だろうが関係ない。自分の身体が許す限り、突き進んでほしいね」 

 イチローは昨年7月19日のフィリーズ戦で通算3056安打を放ち、ヘンダーソン氏の通算安打記録を抜いていた。「史上最高のリードオフマン」が脱帽するほどの「鉄人」はどこまでメジャーの舞台で輝きを放ち続けることができるだろうか。 

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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