ヘイト規制判断の公正性担保 川崎市が第三者機関設置

【時代の正体取材班=石橋 学】公的施設におけるヘイトスピーチを事前規制するガイドラインの運用が川崎市で始まったのに伴い、市の判断の妥当性を審議する第三者機関「ヘイトスピーチに関する部会」が1日、設置された。国際人権法を専攻する大学教授2人、弁護士3人で構成。インターネット上のヘイトスピーチについて、市がネット企業などに削除要請する際の判断も担う。  ガイドラインでは、ヘイトスピーチが行われ、他の利用者に迷惑がかかる恐れがある場合、市は施設の利用申請を「不許可」「許可取り消し」にできる。この際、公正性、透明性を担保するため同部会に意見を求め、最終的な決定を下す。

 同日の市人権施策推進協議会で部会の設置と委員が決定。その後開かれた部会で阿部浩己・明治学院大教授が部会長に選出された。

 部会設置により市が試験実施してきたネットモニタリングが本格実施に移る。職員が検索したヘイトスピーチをネット企業などに削除要請する。横浜地方法務局にも情報提供し、削除要請を求める。何を削除要請するかを部会で審議する。◇被害防止譲らず判断 阿部浩己部会長の話 差別を許容しないという判断を表現の自由との関わりの中で明確に示していけるかが一番大切。ヘイトスピーチの被害の重大さを踏まえ、被害防止の姿勢を譲らずに判断していきたい。憲法と調整しながら、人種差別撤廃条約の要請や国際人権法の基準に基づき事例を積み重ね、市民とともに人権擁護行政をリードしてきた川崎らしい基準を作っていきたい。

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