鉄鋼業界入社式・社長挨拶

「基礎を身に着け、大きな仕事を」/新日鉄住金・進藤孝生社長

 鉄は他の素材に比べて大きな優位性を有しており、今後も素材の主役であり続けると確信している。当社は鉄を極め、最先端の技術を磨き続けることで、「総合力ナンバーワンの鉄鋼メーカー」に向け進化を続ける。皆さんはその重要な役割を担っている。

 これからの長い会社生活、穏やかな凪の日もあれば、激しい嵐の日もあると思う。心身の健康を第一に、上司・先輩の話をよく聞き、同僚と語らい、まずは着実に仕事の基礎を身に着けてほしい。将来、大きな仕事をしていただくことを期待している。

「専門性を磨き、広い視野を」/JFEスチール・柿木厚司社長

 当社は多様な人材が生き生き働けるよう17年をワークスタイル変革元年と位置付け働き方改革を進めてきた。長時間労働の削減だけでなく、生産性を上げて会社を変えていく。技術開発、コスト競争力、販売力に一層磨きをかけることを常に念頭に置き日常の業務に取り組もう。

 皆さんは配属された職場で仕事に打ち込んで専門性を磨いてほしい。しっかり勉強を重ねて10年、15年の単位で専門性を身に付けよう。また双方向のコミュニケーションは大切であり、自ら積極的に質問してほしい。悩みや困り事は一人で抱え込んではいけない。社外に目を向けて自分や会社を客観的に見られる目も養ってほしい。

「目線は高く、現実には謙虚に」/神戸製鋼所・山口貢社長

 当社グループは今、変革期に差し掛かっている。あらゆる不適切行為を許さない体質や仕組みの構築に全力を注ぎ、かつ社会の目まぐるしい変化にも適応していかなければならない。この変化を担うのは、変化を敏感に察する若い人たち。皆さんの柔軟な発想力や活気あふれる行動力に期待している。

 二つの言葉を贈りたい。一つは「目線は高く、ただし現実には謙虚であれ」。もう一つは「仕事はコミュニケーションの積み重ね」。世界中に広がる当社のビジネスフィールのそれぞれの部署で活躍してもらいたい。

「好奇心とチャレンジ精神を」/日新製鋼・柳川欽也社長

 当社グループは、お客様中心主義を経営理念に掲げており、この4月から新日鉄住金グループの一員として初めての中期経営計画をスタートした。節目のタイミングで皆さんを迎えられ心強く思う。

 社会人の先輩として4点を強調したい。まず人とのつながりを大事にし、周りの人と意思疎通を心がける努力が大切だ。また、今やることに集中してプロにならなければならない。そして旺盛な好奇心とチャレンジ精神をもって仕事をしてほしい。さらに安全と健康は何よりも重要だ。

 鉄やステンレスの可能性を引き出し、社会の発展に役立つ会社を目指しており、皆さんはその原動力になって活躍してほしい。

「変化を的確につかみ行動と挑戦を」/大同特殊鋼・石黒武社長

 世界情勢は日々目を離せない状況だ。受け身の姿勢だけでは厳しい競争から生き残れない。変化を的確につかみ、常に時代の先を読み行動と挑戦を続ける努力も必要。102年という当社の歴史も、チャレンジ精神と改善への意欲、果敢に挑戦し苦難を克服してきた先人達の歩みがあったからこそ。これを次世代へ受け継ぐ使命を背負ったと考えてほしい。

 グループの経営理念は「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」。また「高い志を持つ」「誠実に行動する」「自ら成長する」「チームの力を活かす」「挑戦しつづける」が行動指針。

 「働き方改革」にも注力し、限られた時間で効率よく価値の高い仕事をすること。そして「安全と健康は幸せの原点」と認識し、自らの人生をより豊かにするため、心と体の健康に努めてください。

「夢と目標を持って、挑戦し続けよう」/トピー工業・高松信彦社長

 当社は2021年に創立100周年を迎えるが、その長い歴史の中で絶え間なくチャレンジを続け、大きく成長してきた。これからも持続可能な企業であり続けるには、皆さんの既成概念にとらわれない柔軟な発想と行動力が必要だ。改めて将来何をしたいのか、どうなりたいのか、夢と目標を考え、培ったものを思う存分に生かせる未来を想像してほしい。

 夢や目標は人間を強く育てる。失敗を恐れる必要はない。失敗を反省して修正していくことが人間を大きく成長させる。探求心と向上心でチャレンジし続け、時代に合った企業風土をもつ「働きがいのある会社」、上下の隔たりなく自由に議論できる楽しい職場を一緒につくっていこう。

「経営人材になって」/メタルワン・岩田修一社長

 30人の皆さんの入社を歓迎する。当社は鉄鋼総合商社として、金属産業に接するすべての産業・企業との連携によって新たな市場の創造を促す「メタル・マーケットメーカー」というビジョンを持っている。世界の動きを敏感に察知する感性を大いに磨き、わが社ならではの付加価値を創造することで、マーケットの期待に応えていってほしい。 

 新入社員には「経営人材」になってほしい。4つのキーワードを挙げると「Compliance」「All in one」「Reset」「Proactive」。先を予見し行動してほしい。

「自分のアンテナ高く」/伊藤忠丸紅鉄鋼・兼田智仁社長

 入社にあたって31人の皆さんに3つお願いしたい。

 一番目は、世界は連動しているということ。世界のあちこちで起こっていることが、会社活動にリアルに響いてくる。世界は連動していることを認識し、自分のアンテナを高くすることに努めてほしい。

 二番目は、当社の基本精神である「売り手によし、買い手によし、世間によし」の「三方よし」。これに加えて「社員によし」を「三方プラス1によし」として掲げている。

 三番目は、最初の何年かは社会の常識、会社の常識をきっちり学ぶということ。常識を理解しないでお客様や会社に受け入れられるはずもない。

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