アートで連携 平和発信へ 「おきあがりこぼし展」など 数百人規模 取り組み進む 

 長崎原爆が投下された8月に合わせ、芸術作品の展示など平和を発信する六つのアート系イベントを長崎の作家らでつくる6団体が連携して展開する「長崎平和アートプロジェクト(ナヘア)」が、長崎市内で開かれる。期間は約1カ月間。市民主導で計数百人が関わる大規模な取り組み。アートによる平和発信を行う被爆地長崎の複数の団体が集まり、共同で実施するプロジェクトは珍しい。
 中心イベントは、東日本大震災と原発事故で被災した福島県の郷土玩具、起き上がり小法師(こぼし)に、著名人や市民らが絵付けした約800点を飾る「長崎おきあがりこぼし展」。フランス在住のファッションデザイナー高田賢三さんらが発案した被災地復興を祈る同国発の運動で、その後、日本漫画家協会が参加し、広島を経て、東京で展示会が開催中。俳優ジャン・レノさんや漫画家ちばてつやさんらの作品がある。長崎展は国内3カ所目。
 昨年、高田さん側の関係者から県内の作家らに長崎開催の協力要請があり、6団体でつくるナヘアが昨秋発足していた。代表は日本美術家連盟会員で長崎市の画家、米村昭彦さん。
 このほか、二つの被爆地に寄せられた折り鶴を利用した再生画用紙に子どもらが平和の絵を描いた作品を初展示。毎夏、爆心地公園に子どもらが描いた巨大壁画を展示している「キッズゲルニカinながさき」、今年で33回目となる「長崎平和音楽祭」も、ナヘアの一環で開く。街角でのアート展示や写真、書道、華道、茶道などの展示・ワークショップもある。会場など詳細は現在詰めており、長崎市に近く協力要請する。
 同市のウチダデザインスタジオ代表で「長崎おきあがりこぼし展」実行委員長の内田秀行さん(65)は「地元作家らが同じ思いでつながり平和発信に取り組む。アートへの県民の関心も高めたい」と話した。

「長崎おきあがりこぼし展」で展示予定の、平和への思いなどが込められた起き上がり小法師=長崎市内
アート系6団体がそれぞれの取り組み状況を報告した長崎平和アートプロジェクト(ナヘア)の会合=2日、長崎市内

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