金属行人(4月4日付)

 世界中のごみ(廃棄物)を飲み込んできた中国の政策変更が、産業界に広く影響を与え始めている。中国は従来、資源獲得のため固形廃棄物の輸入を積極的に実施。2016年の輸入量は720万トンと世界のごみ貿易量の56%を占める。日本もそうだが、環境先進国のEUでさえも廃棄物リサイクルを中国頼みとする構図となっていた▼その中国では資源再利用のための管理が行き届いておらず、輸入ごみによる環境破壊が社会問題化。中国が輸入規制の対象とするのは、プラスチックごみ、鉱滓(スラグ)、鉄スクラップ、木くず、古紙、廃鉄、廃有色金属、廃棄パソコン、ケーブルごみ、廃棄家電、解体船舶、スクラップ処分車など▼日本から中国へはここ数年、150万~200万トンの雑品スクラップが輸出されてきたが、中国側の輸入が難しくなったことを受けて雑品の引き取りから撤退する業者が国内で相次いでいる。金属以外でも、古紙の中国への輸出が今年は激減見込み。国内への還流懸念が高まり、シリアスな問題となっている▼家電リサイクル法などを整備して国内のリサイクルシステムが確立したところに現れた大きな変化要因。また不法投棄が増えて20年前に逆戻りしないことを願いたい。

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