【新日鉄住金グループ企業の〝今〟(22)】〈ジオスター〉旺盛なセグメント需要捕捉 アジアなど海外事業も軌道に

 ジオスターはシールドトンネル工事などに使用するセグメントの国内トップメーカー。日本プレスコンクリートとして1970年に発足し、プレキャスト・コンクリート製品を中心に独自の製品を展開してきた。94年には社名をジオスターに改称し、95年に東証二部へ上場。2011年には東京エコン建鉄との合併により〝新生ジオスター〟となった。従来の二次コンクリート製品に鋼製製品の製造技術が加わり、RCセグメント、スチールセグメント、合成セグメント、と全てのセグメント需要に対応可能な体制が整い、現在は〝第3の創業期〟とも言える重要な時期にある。

 足元は「東京外環道や横浜湘南道路など大型案件が豊富でリニア中央新幹線なども控えている。これまでは関東が需要の中心だったが今後も中部や関西を含め需要は堅調」(端山真吾社長)。良好な環境下、「セグメントはトップメーカーとして業界の一角を担っている自負がある。大型プロジェクトでは大径や大断面などがキーワードとなるが、従来に増して営業力・製造力・商品力を磨きしっかり受注できる体制を整えたい」と意気込む。

 16年度は過去最高益を達成しているが、17年度も同程度の利益を見込むなど収益も好調だ。数年間は旺盛な需要が見込まれる一方で「新規参入を含め競合他社の能力増強が積極的に行われている。競争は激化しており会社のかじ取りとしては厳しさが増す」と気を引き締める。「冬の時代は再びやってくる。それまでに体質強化を着実に図り、競争に勝ち残る実力をつけていきたい」。

 収益向上へ工場の操業最大化が大きなファクター。「需要のピークは18、19年度だが先造りした製品が数十万トン規模で保管されている」。こうしたセグメントが出荷の時期を迎える中で「輸送品質や納期をしっかりと確保することが重要だ」。そこで、昨年11月に営業企画調整チームを新たに設置。営業も含め横断的に工場の生産調整を行うとともに輸送管理などを行えるよう組織改正を実施している。

 さらに、生産性向上へ「今後はITを駆使したシステム化・自動化を進めたい」。システムを整備することでリアルタイムに工場の生産状況やコストを把握し、安全、品質、操業などの最適化をトップランナー方式で進めていく。こうした取り組みを続けることで「ROS5%以上をどのような環境下でも維持できるようにしたい」考え。「〝全社BEST会社MAX〟の機運が盛り上がりつつあり、他のよいところをうまく取り込めばまだ伸び代は大きい。組織の壁をできるだけ低くし、風通しよくいろいろな意見を言える企業風土を構築したい」。

 海外ではベトナム、シンガポール、マレーシアなどで事業を展開。「海外事業を始めて3年目となるが黒字化にめどが立ってきた。競合も増え環境はバラ色ではないが、厳しい状況でも事業継続可能な基盤整備を進めていきたい」。海外拠点を将来の橋頭堡(きょうとうほ)として位置付けており、「新日鉄住金の東アジアでの展開を、唯一のコンクリート二次メーカーとして側面から援護したい」。(このシリーズは毎週水曜日に掲載します)

 企業概要

 ▽本社=東京都文京区

 ▽資本金=33億5225万円(新日鉄住金の出資比率40・4%)

 ▽社長=端山真吾

 ▽売上高=331億円(18年3月期見通し)  ▽主力事業=土木コンクリート製品及び金属製品の製造販売並びに工事の請負

 ▽従業員=315人(18年3月時点)

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