フジクラなど4社、見守りシステム共同開発 GPS靴で徘徊者捜索

 フジクラなど4社は位置を特定するGPSモジュールを内蔵した靴と高齢者見守りシステムを共同開発し、鹿児島県肝付町で実証実験を行ったと発表した。認知症による徘徊での行方不明者が増加しており、対策に向けた情報通信技術の導入が期待されている。4社では社会的な課題を解決するため今回の共同開発に取り組んだ。

 開発はフジクラのほか、ロボットや電子機器の開発・販売などを手掛けるハタプロ、アウトドア製品メーカーのキャラバン、GPSを用いた位置情報サービスを提供しているライブリッジ社の共同。フジクラでは認知症による高齢者の徘徊を、靴にGPSを内蔵して抑える手法に着目し、今回の共同開発を企画。さまざまな知見を持つ3社に協力を要請し、全体の調整役を担っている。

 GPS内蔵の靴についてはグループの藤倉ゴムの子会社であるキャラバンのノウハウを生かした。これまでの高齢者見守り用の靴はGPSデバイスの内蔵が主眼で履き心地面の課題が普及を妨げてきた。今回はキャラバンの知見で、軽量で履き心地が良く滑りづらい靴を制作した。

 見守りシステムについてはハタプロとライブリッジが有するIoT向けの管理システムや医療介護向けシステムに関する技術を活用。初見のユーザーでも迷わず使える設計として、捜索対象所をより早く見つけられるようにした。今月行った実証実験には地域住民や介護・自治体関係者ら約100人が参加。約30分で徘徊高齢者に扮する捜索対象者を発見した。今後は実験結果を踏まえサービスの事業化を目指す。

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