2017シーズン、ついに悲願の初タイトルを手にした川崎フロンターレ。天皇杯とACL、さらにはYBCルヴァンカップで喫した敗北を糧に、J1でリーグ史に残る逆転劇を成し遂げた。
鬼木達監督は就任1年目での優勝。キャプテンの日本代表FW小林悠は得点王に輝いただけでなくリーグMVPも受賞した。
今オフは大久保嘉人、齋藤学らを獲得。リーグ連覇を目指す彼らの新ユニフォームを遅ればせながら紹介したい。遅れた事情も合わせて…。
Kawasaki Frontale 2018 Puma Home
リーグ優勝を表す星がついた、川崎の2018シーズン新ユニフォーム。
ホーム(1st)は、2001年から2008年まで着用していた「ツートン」を採用。川崎はクラブ創設20周年を迎えた2016シーズン、ホームにクラブ創設時の「ストライプ」、カップ戦モデルに2009年の「スラッシュ」を採用したが、それら以上にクラブの歴史の中で長い期間着用していたのがこの「ツートン」である。
クラブとサポーターにとって想い入れの強いデザインだろう。
青の部分は、クラブとして積極的に行っている地域活動やプロモーション活動の取り組みを「優しさや安心感」として表現。黒の部分は、チームが持つ「力強さ」を表現しているという。
つまり、片方だけではなく両方を突き詰めて、バランスの取れた、強くて楽しいクラブを目指すという意志が込められている。
Kawasaki Frontale 2018 Puma Away
アウェイ(2nd)は、白を基調としたデザイン。
川崎のアウェイユニフォームとしては珍しくホームと共通のテンプレートを使用。そして胸スポンサーが『arrows』からホームと同じ『Fujitsu』へと変更された。
Kawasaki Frontale 2018 Puma GK Home
GKのホームも、お馴染みの緑を基調とした「ツートン」。
全身はそれぞれこんな感じ。「ツートン」尽くしである。
Kawasaki Frontale 2018 Puma ACL Home
ACL用ユニフォームは一転。ボーダー柄を採用。
アジアのタイトルを目指し『力強さ』を全面に押し出したデザインで、フロントの胸元には日の丸を配置している。
さて、そんな川崎のユニフォームだが、先週末の3月31日に行われたサンフレッチェ広島戦からちょっとした変更があった。
タイトルでネタバレしている通り、新たに鎖骨スポンサーが入ったのだ。
クラブ初の鎖骨スポンサーは、「富士通ビー・エス・シー」。クラブ創設期からオフィシャルスポンサーとして支援を続けており、今年、創立55周年を記念して初のユニフォームスポンサーを務めることになったという。
これを受けてクラブは、すでにユニフォームを購入した人のうち希望者を対象に、無料で鎖骨スポンサーを圧着することを発表。4月11日(水)のセレッソ大阪戦から等々力陸上競技場内のメインスタンド2Fイベントスペースなどで受付が行われるとのことだ。
「選手と同じユニフォームで一緒に戦いたい!」というサポーターにとっては一安心である。
ところで、気になるのは、なぜ鎖骨スポンサーがこの時期の発表になったかということだろう。
実は川崎は、昨年12月2日に「トップチーム公式戦ユニフォーム鎖骨スペース広告掲出企業募集のお知らせ」を配信。新シーズンから導入される鎖骨スポンサーを広く募集したのである。
リーグ王者の首都圏クラブ。さらにファンもファミリー層を中心に多いということを考えれば、決して少なくない数の企業がこれに応募したのではないかと思われる。
しかし最終的に契約したのは、フロンターレと繋がりの深い富士通の関連企業。しかもこの時期。昨年12月から発表を待っていたQolyとしてはまさかである…。
ただ、理由は推測できる。ここに至る過程でネックとなったのは、おそらく広告のサイズだ。
前述の鎖骨スポンサー募集時、「広告サイズ」については以下のようにオフィシャルサイトに記載されていた。
広告サイズ
21 c㎡以下(天地最大3cm×左右最大7cm)
※Jリーグ規約・規程での広告サイズは50c㎡以下となっておりますが、2018ユニフォームデザインの都合上、川崎フロンターレでは21c㎡以下が2018シーズンの広告サイズとなります。
Jリーグの規約・規定において、鎖骨スポンサーの広告サイズは「50c㎡」と定められている。にもかかわらず川崎が募集したのは、半分以下となる「21 c㎡以下」の広告なのだ。実際、富士通ビー・エス・シーのロゴはあまり大きくない。
ここで興味深いのが、川崎と同じくPumaがサプライヤーを務めているJ1クラブ。セレッソ大阪、ジュビロ磐田、清水エスパルスのいずれもが鎖骨スポンサーが入っていないのである。
カップ2冠のセレッソなども川崎と同様引く手数多のように思われるのだが…。
J2、J3を見ると、Puma勢では唯一アスルクラロ沼津が鎖骨スポンサーを掲出。ただ、彼らのユニフォームはJ1組とは違い、少し前のテンプレートを使用している。
つまり結論をいえば、おそらく今シーズンのユニフォームの多くは鎖骨スポンサー導入決定前にデザインが決まっており、スポンサーにとって魅力的なほどスペースがないケースがあるのではないかということである。
デザインの段階で鎖骨スポンサー導入が決まっていれば、クラブやメーカーは当然それを意識してロゴの位置などに気を遣う。
しかし、翌シーズンのユニフォームは結構早い時期に決まってしまうため、もしかしたら今回はそこがうまくいかず、デザインによって“明暗”が分かれる格好になってしまったのかもしれない。
比較的目立つ位置のはずの鎖骨スポンサーに空きが多いのはそういった理由もあるからだとみられる。