星野リゾート 雲仙進出へ 長崎県内初

 全国で宿泊施設を展開する星野リゾート(長野県)が、長崎県雲仙市の雲仙温泉街にある老舗旅館、雲仙富貴屋の株式譲渡を5月16日付で受け、新たに設立する株式会社が同旅館の運営に乗り出す方針であることが4日、分かった。建物の老朽化が進み、耐震化への対応も迫られていた同旅館は5月6日にいったん閉館し、建て替えや改修工事などを検討する。営業再開の時期は未定。
 星野リゾートは、高級リゾート「星のや」や温泉旅館「界」といった四つのブランドを軸に、国内外で36施設を運営。これまで各地で多くの旅館を再生してきた。運営が正式に決まれば、長崎県進出は初となる。同社は「地域に貢献し、雲仙の魅力を一緒に発信していきたい」としている。
 雲仙富貴屋は1915年に創業し、103年の歴史を誇る。同温泉街の中心部に位置し、客室は70室。2012年から運営してきた有限会社雲仙富貴屋は今年3月、星野リゾートに株を譲渡する契約を締結。新たに設立する株式会社雲仙富貴屋が事業を引き継ぐ。星野リゾートの株の保有率や金額は明らかになっていない。
 同市の観光統計によると、市内観光客は減少傾向にあり、16年の延べ宿泊者数は約54万人。雲仙・普賢岳の噴火が始まった1990年(約163万人)の3分の1以下にとどまる。こうした中、同旅館は4年前からウオーキングや島原半島内の名所散策を取り入れた宿泊プランを提供し、2016年度にはNPO法人「日本ヘルスツーリズム振興機構」が全国自治体や施設から選ぶ「日本ヘルスツーリズム大賞」の奨励賞を受賞。これまで延べ約8500人が参加するなど、低迷する温泉街の中で客足は増加傾向にある。

5月6日で閉館する雲仙富貴屋=雲仙市小浜町

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