【韓ポスコ創立50周年(下)】〈世界有数の鉄鋼メーカーに〉粗鋼4000万トン規模に拡大 非鉄鋼分野も飛躍期す

 創業以来、ポスコは先行する日本・欧米メーカーに追い付くため、技術開発を進めた。その成果の一つとなるのが次世代製鉄法「FINEX工法」だ。

独自の「FINEX」

 2003年にデモプラントが稼働。07年には2号炉で年産150万トン規模の商用化に成功する。そして14年1月、3基目のFINEXが稼働。年産規模は200万トンにまで拡大した。

 16年には「技術の販売およびエンジニアリング事業」を事業目的に追加。FINEXとともに開発を進めた圧縮連続鋳造圧延技術「CEM」などの独自技術を販売するようになった。

 もう一つの技術開発の成果と言えるのが、ポスコの鉄鋼事業の要となる自動車用鋼板だ。

自動車用鋼板で躍進

 光陽製鉄所で05年に第5CGL、06年に第6CGLがそれぞれ竣工。自動車用鋼板の年産能力は650万トンにまで拡大した。これらにより、02年に約190万トン程度だった自動車用鋼板の販売量は、08年には616万トンとなった。昨年の販売量は約900万トンとなり、自動車用鋼板の販売量はポスコ全体の約25%を占めるようになった。

 また、1992年には浦項・光陽製鉄所で合わせて粗鋼年産2千万トン体制を確立したが、その後の設備増強により、今は粗鋼生産規模が4千万トンに拡大。操業を始めた73年の粗鋼生産量は44万9千トンだったが、昨年はおよそ3720万トンとなった。

グローバル化加速

 ポスコがグローバル企業への道を歩み始めたのは、90年代から。91年には北京事務所を開設し、94年10月に韓国企業では初のニューヨーク証券取引所に上場。97年には中国ステンレスメーカーの張家港浦項不銹鋼も設立している。

 現在、ポスコの主な海外事業には張家港浦項不銹鋼やインドネシアの高炉一貫製鉄所「クラカタウ・ポスコ」などがあるが、海外進出の基軸となるのは、やはり主力製品である自動車用鋼板。日本を含めた世界各地で自動車向けのSCMや薄板工場を展開している。

 ポスコ最大のM&Aとなった10年の大宇インターナショナル(現ポスコ大宇)の買収もグローバル化に拍車を掛けた。約3兆4千億ウォンを投じたこのM&Aは、グローバル販売網の拡大などに寄与している。

リチウム事業に注力

 ポスコはこの4月1日に創業地の浦項市内で50周年記念式典を開催し、創立100周年となる2068年に連結売上高500兆ウォン(50兆円)、営業利益70兆ウォン(7兆円)を目標とすることを宣言した。ポスコの17年12月期連結業績は売上高が約60兆7千億ウォン、営業利益は約4兆6千億ウォン。飛躍的な規模拡大が必要になる。

 ポスコはグループ利益の約80%を鉄鋼およびその関連分野で稼ぐが、将来的には収益構造を「鉄鋼」「インフラ」「新成長」の3事業群で4対4対2の割合とする計画。非鉄鋼分野を大きく拡大することになり、近年注力するリチウム事業は飛躍が期待できる一分野となる。

 ポスコは10年にリチウムの直接抽出技術の開発に成功した後、昨年2月には光陽製鉄所で炭酸リチウムの生産を開始。今年4月には炭酸・水酸化リチウムの年産能力を2500トンとした。30年には売上高を2兆ウォンとするのが目標だ。

 ただ、目標達成には鉄鋼事業も拡大する必要があり、単純に計算すると同事業だけで約30兆ウォンの営業益を稼がなければならない。M&Aなどを含め大型案件をどこかで決断する必要があるだろう。

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