アクセルとブレーキ 踏み間違い防ぐペダル 高齢者事故のリスク減らせ

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アクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐ「ワンペダル」の仕組みを説明する鳴瀬益幸社長=玉名市
ブレーキペダルの上に装着された「ワンペダル」。右側のレバーがアクセルになっている

 <こちら編集局”増刊号”> 運転免許証返納の記事を読みました。私は魚釣りが趣味で、将来返納したら気ままに出掛けられず困ります。高齢者の事故の原因でよく聞くのが、アクセルとブレーキの踏み間違い。誤操作なく運転できる車を開発するなど、対策が進んで運転を続けられるようになればうれしいです。(熊本市、看護師・男、59)=3月3日掲載

 学生時代、自動車学校で実技試験に3度も落ちながら、苦労して取得したマニュアル(MT)車の運転免許。教習中、エンストを繰り返して、心が折れそうになった。そんな私の横をオートマチック(AT)車がスイスイと駆け抜けた時のむなしさは忘れられない。

 県警担当記者として交通事故を取材していると、高齢者の事故の多さに驚く。特に最近、気になるのが、アクセルとブレーキの踏み間違いだ。県内でも踏み間違いが原因とみられる事故が後を絶たない。2017年までの5年間に計445件(うち死亡事故は3件)発生。そのうち65歳以上の高齢ドライバーが44%(197件)を占めている。

 県南のコンビニで昨年、高齢男性が店舗に突っ込み、運転手や店員ら3人が軽傷を負う事故が起きた。踏み間違いが原因とみられる。

 「駐車や方向転換の最中に、急に現れた歩行者に驚き、慌ててペダルを誤操作してしまうケースが多い」と県警交通企画課。「なるべく広い駐車スペースに止めるなど、落ち着いて運転することを心掛けてほしい」と強調する。

 県運転免許センター(菊陽町)では平日、運転に不安を感じるドライバー向けに看護師らによる運転適性相談を受け付けている。高齢者は反射神経や瞬時の判断力が低下してくるため、県警は運転免許証の自主返納を呼び掛けている。3月から家族などによる手続き代行制度も始めた。

 とはいえ、公共交通機関が充実していない地域では、買い物や通院など生活に車が不可欠だ。少しでも踏み間違いのリスクを下げる方法はないのだろうか。踏み間違いを防止するペダルを開発し、販売している会社が玉名市にあると聞いて向かった。

 アクセルとブレーキを一体化させた「ワンペダル」を開発したのが、機械製造の「ナルセ機材」だ。鳴瀬益幸社長(82)は「そもそも近い場所にある全く逆の機能を持つペダルを、踏み込むという同じ動作で操作することに問題がある」と指摘する。

 ワンペダルは、ブレーキペダルに右足を置いて操作する。アクセルはブレーキの右側にあるレバーで、右足を横にスライドさせると加速する。ブレーキは踏み込み、アクセルはスライドさせるため、踏み間違いは起きない仕組みだ。玉名市はワンペダルを装着した市民などを対象に5万円を補助しており、17年度は7件の利用があった。

 ワンペダルは同社で取り付ける場合、17万円(税別)からだが、取り付けられない車種もある。鳴瀬社長は「高齢ドライバーは、自分が危険な運転をしていると気付いていないことが多い。自らの運転を過信しすぎず、周囲の意見に耳を傾けて」とアドバイスする。同社TEL0968(73)1511。

(2018年4月6日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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