金属行人(4月6日付)

 景気の先行きに対して警戒感が強まっている。2日発表の日銀短観によると、大企業製造業の業況判断指数が2年ぶりに悪化。米国と中国の貿易摩擦や円高の影響、人手不足などが懸念材料として挙げられている▼経産省が先月発表した2月の鉱工業指数(速報)は、生産、出荷とも2カ月ぶりに上昇。ただ、これは大幅な落ち込みとなった1月の反動による影響が大きく、その下落分を戻し切るほどの勢いもなかった。3月の先行き試算値は小幅のプラスと見込まれているが、1月の落ち込みを2月、3月でカバーすることは難しく、「1~3月期は確実にマイナスになる」とみられている▼特に懸念されているのが在庫の積み上がり方だ。「全体的にじわじわと上がってきており、需要が生産についてきていない感がある」という。業種別で見ると、受注残を抱える生産機械関係は当面好調を維持する見通しだが、自動車や電子部品などのけん引力が弱まっているもようだ▼ここまで続いてきた良好な環境は今年中に潮目が変わるのだろうか。新年度がスタートし、いろいろと慌ただしい時期ではあるが、市場の変化を見逃さないよう、これまで以上にアンテナを高く伸ばしておく必要があるかもしれない。

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