社食で食生活改善 鈴廣 メタボ社員減少など効果 小田原市

セルフサービスのコーナーでも、盛り付け方などを指導

 10年程前から高水準で推移している小田原市の脳血管疾患死亡率。神奈川県が発表した衛生統計によれば、2016年は県内19市中ワースト2位で全国平均も上回る。要因の一つは食生活の乱れ。市では減塩レシピを紹介するなど対策に乗り出すなか、社員食堂を通じて社員の健康管理を積極的に支援する民間企業もある。

 食を扱う企業だからこそ、社食を通じて社員にも食に関心をもってほしい――。

 (株)鈴廣蒲鉾本店は2012年、それまで総務課が担っていた社員食堂を管理する業務を、社員教育を行う人財開発課に移管。積極的に食育を推進しようと、「健康管理プロジェクト」を発足させた。

 まず、厨房に導入したのは「スチームコンベクションオーブン」。揚げ物に使用する油を減らせるほか、余分な脂分も取り除ける機器だ。減塩にも取り組み、塩分は一食4g以内。サラダは厚生労働省が一日の目標として示す摂取量350gの半分にあたる150〜200g、一食のカロリーは600キロカロリー前後におさえた。自社製品の活用方法を社員に学んでもらおうと、サラダやいなり寿司に蒲鉾を使ったメニューも組み込んだ。

 それだけではない。調味料やドレッシングはかけ過ぎを防ぐため、少量ずつしか出ないプッシュ式容器を採用。ご飯の盛り付けはセルフサービスだが、一食の目安150gが分かりやすいよう茶碗の内側には赤いラインが走り、正確に計量するためのスケールも設置されている。

 当初は徹底的にコントロールされたヘルシーメニューに、男性社員から不満の声もあがった。それでも、「ヘルシーだけどおいしい」と徐々に浸透。メタボリックシンドロームと診断される社員が減るなど、健康診断の結果も着実に改善された。人財開発課の橘高(きったか)さかえ課長は、「社食を通じて食に対する健康意識が根付いた」と喜ぶが、最近は結果も停滞気味。「新しい対策が必要ですね」と気合を入れていた。

自社の蒲鉾を使ったいなり寿司(左)やサラダ(右上)

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