金属行人(4月10日付)

 今年の桜は咲いたと思ったら、すぐに散った。そんな感じのせわしない桜だった。桜が咲くこの時期。新生活が始まる季節であり、人事の季節でもある。新社会人もいれば、職場が変わった人もいる。また職場は変わらずとも上司や部下、そして同僚が変わった人もいよう。個人的であれ周囲が思ったことであれ、「びっくり人事」もあっただろう▼サッカー日本代表のハリルホジッチ監督が解任されるというが、これも「びっくり人事」の一つだろう。ロシアW杯まで約2カ月。随分と慌ただしい監督交代は果たして吉となるのだろうか。一ファンとすればW杯での日本代表の活躍を期待する他ない▼桜やサッカーだけでなく、世間全般で慌ただしさを感じるのは私だけだろうか。政治では、なかったものがあったり文書が変わったり。経済でも米中貿易摩擦は、その規模がどんどん拡大しそうな情勢だ▼政治も経済もスポーツも慌ただしく、そしてせわしない。今の世の中は今年の桜のように、どうも不安定だ▼ただし桜はあくまで自然体。天候に合わせ、自然に咲いて、自然に散る。先行きが見通しにくい世相だからこそ、環境に対応しながらも、自然体ですべきことをやっていきたい。

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