田中貴金属、片面2層構造メタルメッシュフィルムをタッチパネル向けに開発

 TANAKAホールディングスは9日、製造子会社の田中貴金属工業が、タッチセンサ用メタルメッシュフィルムの片面2層配線構造ならびにその製造方法を見出し、実用化に向けた開発に移行したと発表した。スマートフォンのタッチパネルなどの用途で高画質化、薄型化、フレキシブル化、耐久性の向上などが図れる。

 通常、タッチパネルはXセンサ基板とYセンサ基板という2枚のセンサ基板で構成されるが、同社はフィルム片面に銀ナノインク配線回路を重ねて形成することでフィルム基板の片面にXセンサとYセンサの配線を形成し、センサ基板が1枚で済み、低コスト化やタッチパネルの高画質化、薄型化などが図れる構造と製造方法を見出した。また、タッチパネルセンサで現在主流のITOをガラス基板にエッチング形成した透明電極や、メタルメッシュフィルムでも耐えられない折曲げ強度の改善(フレキシブル化)も期待できる。

 メタルメッシュとは、センサ配線を、酸化インジウムスズ(ITO)を使用したエッチングではなく、銀や銅を用いて格子状に配線する方式。同社のメタルメッシュフィルム印刷技術は、熱に弱いPETフィルムへの配線形成を可能にした「低温焼結銀ナノインク」と、活性化させたフッ素樹脂表面と銀インクとの吸着反応により微細配線を形成する「スーパーナップ法」と呼ばれる技術を用い、4マイクロメートル以下の微細配線を実現できる。

 さらに、微細配線フィルムを全行程ロールtoロール方式で製造するプロセスを世界で初めて確立し、数ミクロンから数十ミクロンまでのパターンが混在するメタルメッシュフィルムや、センサ部と額縁部の一括形成印刷が可能なことが特長。

 現在は標準仕様(4マイクロメートル、片面1層構造)のサンプル提供を行っており、片面2層構造メタルメッシュフィルムはサンプル出荷を目指し、さらなる研究・開発を進める。

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