「クリントン氏のポルノ映像」はロシア由来だった

By 太田清

トランプ米大統領の就任式で手を振るヒラリー・クリントン氏。左は夫のビル・クリントン元大統領=2017年1月20日、ワシントン(ロイター=共同)

 米NBCテレビは11日、2016年米大統領選の民主党候補だったヒラリー・クリントン氏の性行為を描写したとするポルノ映像が、ソーシャルニュースサイト「レディット」に掲載されていたとした上で、ロシアのサンクトペテルブルクに拠点を置くネット企業により投稿されたものだと報じた。 

 映像はクリントン氏とは何の関係もない虚偽のもので、レディットはロシアの「インターネット・リサーチ・エージェンシー」のアカウントを削除した。映像は無料のポルノ視聴サイトも掲載。転載されたとみられるが、削除されるまで25万回以上視聴されたという。 

 映像は「こうやってヒラリーは黒人票を得ている」とのタイトルで、金髪の白人女性が黒人の男性とホテルの部屋とみられる場所で性行為をする様子が描かれており、隠しカメラで撮影されたような構図で写っているという。映像は16年に投稿されたとみられる。映像を投稿したアカウントは「Rubinjer」との名前で、ユーザーからフェイスブックの「いいね」に当たる「賛成」を約10万得るほどの人気を得ていた。 

 インターネット・リサーチ・エージェンシーは米大統領選で、当時のトランプ候補の支持率を上げ、クリントン候補の人気を落とす目的で、フェイスブック(FB)などソーシャルメディアに大量に虚偽情報を流した疑いが持たれている。既に大統領選に介入した罪で連邦大陪審により起訴されており、数百人を雇用し、ネット上の「対米情報戦争」の中心を担ったとされる。

 FBのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も10日、米上院の公聴会でインターネット・リサーチ・エージェンシーには「約470のアカウントやページがあり、約8万件の投稿をしていた。約1億2600万人が影響を受けたと推定される」と説明している。 (共同通信=太田清)

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