ハンディある人へ優しいのはどこ? 公衆トイレ2000ヵ所調査 HPで紹介「『あすはわが身』の視点を」

 障害者に優しい公衆トイレはどこ?-。長崎県諫早市高来町の介護福祉士、豊福和範さん(44)は、10年前から県内の公衆トイレ約2千カ所を巡り、障害者や親子連れの使いやすさなどを調査。「トイレ探索士」と名乗り、自身のホームページ(HP)「長崎・トイレ案内板」で調査結果を紹介している。「ハンディがある人が健常者と同じように外出するために、トイレの情報はとても重要」と力を込める。

多目的トイレの設備などを調べる豊福さん(中央)と大輝君(右)、香帆さん親子=県立百花台公園

 今月初め、雲仙、島原両市にまたがる県立百花台公園の公衆トイレを豊福さんに案内してもらった。
 「香帆はベッドの幅を測って。大輝は写真係」。同行した小学6年の長男大輝君(11)、4年の長女香帆さん(9)と一緒に点検。園内に十数カ所あるうち、最新のトイレは「障害者にとって最も理想的な多目的トイレ」と評価した。
 このトイレは、個室の中央奥に設置された便座の両側に、上方に跳ね上げられるU字型の手すりがある。温水洗浄などのスイッチも便座両側にあり左右対称の形状。これだと、左右どちらがまひした人でも使いやすいという。広い室内は、車いすや移動式ベッドでも利用しやすそうだ。
 例えば、便座が側面の壁際にあり、その壁にL字型の手すりを取り付けてある多目的トイレを見掛けるが、まひの左右によって使いにくい場合がある。多目的トイレは老若男女、障害の有無といった違いにかかわらず利用可能な設計「ユニバーサルデザイン(UD)」のはずだが、豊福さんは「健常者が考えるUDと、障害者の使いやすさとの間にまだ、ずれがある」と説明する。
 福岡市出身。結婚を機に2005年、長崎市に移り住み高齢者施設に勤めた。施設利用者の外出時に経路のトイレを調べたり、自身の子育てで父親がおむつ交換できるトイレを探したりした経験から調査を開始。13年に脳梗塞で軽いまひを患ってリハビリを経験し、障害者の使いやすさに一層関心を持つようになった。
 HPは県内各地の公衆トイレについて、多目的トイレや駐車場の有無、手すりの配置、形状の情報などを掲載。地域別のほか人工肛門・ぼうこうの人が使う「オストメイト対応」などの分類別で閲覧可能。16年時点で、離島を除く約1800カ所のうち、多目的トイレ付きは約800カ所だった。外観などの写真を付け、バラエティーに富んだ様子も楽しめる。
 県内で多目的トイレの場所をHPで発信している自治体などはあるが、県全域を網羅し詳細を把握できるHPはほかに見当たらない。昨年、第2回日本トイレひと大賞(NPO法人日本トイレ研究所主催)の受賞10個人・団体の一つに選ばれた。
 障害者らのトイレの問題に、健常者は関心を持ちにくい。「今は健常でも『あすはわが身』という視点でトイレのことを考えて」と呼び掛けている。

豊福さんが選ぶ 長崎県内の特色ある公衆トイレ

◎ズーム:多目的トイレ
  車いす利用者や介助が必要な人が使える広さの個室に、手すりなどが付いた便座、オストメイト用の設備、おむつ替えができるベッドなどを備えたトイレ。多機能トイレとも呼ばれる。県福祉のまちづくり条例は公共、民間を問わず、不特定多数が利用する施設や公園、一定規模の建物などの新設、改良時に、必要な広さや設備の基準を満たすトイレを整備するよう定めている。