金属行人(4月12日付)

 大分県中津市で11日に土砂災害が発生した。住宅などが巻き込まれているとの第一報が出ていた。地震国であり、自然災害の多い日本では土砂災害が毎年のように発生しており、こうした報道に接するたびに何らかの対策が講じられなかったのかと思う▼「人の命は地球よりも重い」のは誰もが分かることだ。人口が漸減傾向にある日本では、他国にも増して人命は貴重であると言える。人命を守ることは為政者の責務であって、最も優先されることと言える▼現政権は国土強靭化を掲げており、国の方針としては自然災害などへの対策を確実に進めていると言える。しかし、地方に目を向けると財政の関係もあり急速に進んでいるとは言えない面もある▼防災・減災の費用はコストではなく投資であると捉えるべきだろう。日本が今後も存続していくために必要な投資であって、ひとたび自然災害が発生してしまえば国民の生命や財産が毀損されるのみならず、復旧作業などにもかえってコストがかかり大損としかならない▼近年の気候変動で従来とは異なる自然災害が発生している。百年に一度といった災害が発生する時代において、生命を守るために鉄鋼建材はその役割を果たし切れているだろうか。

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