専門商社の蝶理、中国産錫地金を国内販売 車、電子部品などはんだ需要増に対応

 繊維、化学品、機械などの専門商社である蝶理(本店・大阪市中央区、社長・先浜一夫氏)は10日、世界最大の錫製錬メーカー・雲南錫業(中国・雲南省)の100%出資子会社である雲錫(香港)資源と日本向け錫地金の日本総代理店契約を締結したと発表した。契約締結の時期は2017年12月。

 錫地金は主にはんだに用いられるが、はんだは自動車やスマートフォンなど電子部品向けに需要が増加している。錫地金の市場拡大に伴い、日本市場での業容拡充を目指す。

 蝶理は08年より、雲南錫業の錫加工品を日本や海外向けに販売している。一方、中国では17年初旬に錫地金の輸出関税が撤廃された。加えて同年11月には雲南錫業が中国で唯一、錫地金の輸出に関し優遇措置を受けられることとなった。これらの追い風を受けて、蝶理は市場に再参入する。

 雲南錫業は1833年の創業で、深せん証券取引所の上場企業。16年度売上高は334億元(約5600億円)。

 雲錫香港は11年の設立。16年度の売上高は270億香港ドル(約3680億円)。

 製品輸出や原料輸入、海外への投融資など、雲南錫業グループの海外事業の中核を担っている。

 「錫地金はこの4月より販売を開始。まずは関西に在庫拠点を構え、一般的グレードに加え、高純度品の販売も視野に入れる。これにより全国展開を目指す」(蝶理)。

 錫はアメリカのドット・フランク法でタンタル、金、タングステンなどと共に「紛争鉱物」に定義されている。コンゴ民主共和国や周辺国の紛争地域から、鉱物調達をしないことが求められる製品だ。雲南錫業グループは「紛争鉱物」不使用の製錬・精製業者(CFS)認定を取得している。

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