待機児童が過去5年で最多 長崎県内、2017年10月時点 認可保育所の改修や新設 追いつかず

 認可保育所などに入れない長崎県内の待機児童数は2017年10月1日時点で371人に上り、同時期で比べると過去5年間で最も多かった。長崎県は待機児童ゼロの実現を目指すが、共働き世帯の増加や入所要件の緩和などに伴い入所希望者が増え、認可保育所の改修整備や新設が追いついていない状況だ。

 長崎県こども未来課によると、同時期の待機児童数は2013年185人、2014年179人、2015年181人、2016年271人と推移。2015年に始まった国の「子ども・子育て支援新制度」に伴い、入所要件が緩和されたことも増加の一因とみられるという。

 自治体別では長崎市が148人、大村市111人、対馬市39人、西彼長与町25人、佐世保市21人など、9市町で待機児童がいる。年齢別に見ると、育児休暇からの職場復帰などを背景に0歳児と1歳児が全体の約7割を占め、年齢が上がるにつれ待機数も減る傾向にあるという。これとは別に、特定の保育所への入所を希望し国の定義に含まない「隠れ待機児童」も一定数いる。

 一方、増築や施設新設など定員を増やすための取り組みが各地で進む。認可保育所などの総定員数は右肩上がりで、2017年10月時点で約4万600人と、2013年から約8500人増えた。

 大村市は2017年度に教育保育施設の事業者を募り、既に開設した4施設のほか2019年4月までに3施設を開設する予定。保育士として就職する人に祝い金を交付するなど保育士確保にも努めている。それでも、市こども政策課は「申込数が毎年100人ずつぐらい増えている」とし、需要が上回っている状態。長崎市は入所希望者数以上の定員枠を確保するが、中心部に待機児童が集中するなど、地域に偏りがあるという。

 県こども未来課は「市町と連携しながら、待機児童解消に向けて取り組んでいきたい」としている。

長崎県内の待機児童数の推移

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