熊本地震被災の高齢者、介護予防教室参加で運動機能低下少なく

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復興リハビリテーションセンターのスタッフからサポートされて握力を測る高齢者=御船町の高木仮設団地

 熊本地震後、被災地で開かれた介護予防教室に参加した高齢者は、運動機能などに著しい低下が見られなかったことが分かった。日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の研究員が3月30日、熊本市中央区の県医師会館で開かれた県復興リハビリテーションセンター最終報告会で述べた。

 理学療法士らリハビリテーション専門職が、要望のあった6市町村の仮設団地を訪問し、介護予防教室を開催。参加した住民の握力など運動機能や生活の状況の変化を3カ月ごとに調べ、2回分の調査結果が得られた65歳以上の225人について日医総研の王子野麻代主任研究員(33)が分析した。

 分析対象の約8割は70~80代の女性で仮設住宅で生活。約7割が要介護認定の申請をしていないか該当しておらず、身体的に自立した状態だった。

 運動機能は▽片足で立てる時間▽座った姿勢から立ち上がり、3メートルを歩いて往復する時間▽立った状態で手を前に伸ばせる距離-の3項目を分析。各項目で、145~177人は測定結果に変化がなかった。1回目よりも2回目の方が機能が落ちたのは5~19人だった。

 外出の状況やもの忘れなどを問う生活機能チェックでは126人が変化無し。2回目に要介護の必要が高いとされたのは12人だった。

 王子野さんは「大規模災害後の被災者の運動機能について、比較できる過去のデータがない」としながらも、「県復興リハビリテーションセンターの活動が、高齢者の生活の質向上に貢献したのではないか」と述べた。

 さらに、「介護予防教室に参加した被災者の感想など、生の声を現場スタッフが記録しておくことも重要な考察になる」と訴えた。

 同センターは3月末で活動を終了。総合本部長の林邦雄医師(75)は「今後も地域から介護予防の相談や要望があれば、専門職として応えていきたい」と話した。(清島理紗)

(2018年4月16日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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