クリエイト礼文、利益50億円企業へ中期経営計画策定 地域の未来牽引「ともに成長を」

挨拶する大場社長

 QOL(Quality of Life)住宅の創造をミッションに掲げるクリエイト礼文(クリエイト レモン、山形市)は4月16日、2018年3月期業績と今後10年の経営ビジョンに関する「中期経営計画説明会」を山形市内で開催した。協力会社や金融機関・メディアなどを含む約235人が出席した。

 2018年3月期業績(確定前)は、売上高が前年比10%増の63億5500万円、経常利益が同47%減の3億円で「増収減益」の見通し。増収の要因としては、完工棟数の増加(前年比20棟の272棟)や、庄内エリア展開の好調な滑り出し、FC部材・工事受発注スタートなどを挙げた。減益の背景については、「働き方改革」「給与ベースアップ」といった人材面の取り組みや、ブランディング強化のための合計約2.5億円の先行投資を挙げ、実態としての経常利益は前年、前々年と同レベルの5億円程度を達成したことを明らかにした。

 約2.5億円の先行投資は、今後10年の経営ビジョンを実現するためのもの。同社は2028年3月期の経常利益50億円達成を指標として掲げ、2019年3月期は売上高79億6100万円、経常利益7億900万円を必達目標とする。目標の実現に向けた重点施策として、既存事業を深掘りする「知の深化」(5点)と、新規事業による「知の探索」(5点)の計10点に取り組む。

 既存事業の「深化」では、2019年に見込まれる「消費増税」に対応した需要取り込み戦略を推進していくほか、「販売価格の見直し」による利益率の向上、職人不足に対する「多工種+業務細分化」推進、住宅ブランド『UNITE HOUSE』(ユニテハウス)のブランド力向上とFC加盟募集の後押し策として「グッドデザイン賞」獲得への取り組みを実行していく。FC事業では、長期目標として100社5000棟/年の達成を目指す。さらに、昨年12月に経済産業省から選定を受けた「地域未来牽引企業」としての期待や支援措置を追い風に、新たに農林水産・観光分野での事業計画を策定していく。

 新規事業の「探索」では、『UNITE HOUSE』の傘下に新たに4ブランドを展開する。ZEH仕様/デッキ&ルーバー/ラグジュアリーを特徴とする『THE UNITE』をはじめ、マンションの利便性を住宅に取り込んだ『マンション邸宅』と交通やショッピングの利便性の高いエリアに住宅展示場を展開する『街なか展示場』、全室がIKEAの家具でコーディネートされた賃貸住宅『Unite Maison』の4つを推進する。

 また、リフォーム事業では、既存オーナー2600組に対して定期巡回を行う『ユニテレディー』の体制を整備する。3カ月に1回の頻度で定期巡回を行い、信頼を獲得した上で、既存顧客を対象としたリフォーム促進営業を進める。

 そのほか、「地域未来牽引企業」として、蔵王エリアに取得した約10万m2の土地でクルミやクリを植林し、その生産物を既存のカフェ事業『Kinomi project』や加工販売などに活用する新たな取り組みにも挑戦する。

 説明会の冒頭に挨拶した大場一夫・代表取締役社長は、「『地域未来牽引企業』の選定を受け、地域のリーダー的存在としてしっかり牽引していきたい。来年は消費増税が控えており、この一年が非常に大切になると思っている。我々社員一同はもとより、ご列席いただいた皆様と思いを共有して、この一年を邁進していきたい」と語った。

 経営ビジョンの説明に当たった大場友和・専務取締役は、米アップルの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏の言葉を引きながら、「これから総勢192名、“Stay hungry, stay foolish”の精神で、必ず(経常利益)50億円を成し遂げて、皆さんとともに成長していきたい」と飛躍の一年に向けた思いを述べた。

長期ビジョンを説明する大場専務

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