『いぬやしき』 日本映画離れしたSFアクション

(C) 2018「いぬやしき」製作委員会 (C)奥浩哉/講談社

 『GANTZ』シリーズの原作・奥浩哉×監督・佐藤信介が再びタッグを組んだSFアクションなのだが、主人公は何と“ジジイ”。謎の事故に巻き込まれて機械の身体になった二人=初老のサラリーマンと高校生が、人類を守る側と殺す側に分かれて攻防を繰り広げる話だ。社会的弱者に共感するまなざしは、今年のオスカー作品『シェイプ・オブ・ウォーター』にも通じる。

 見どころは、何といってもVFXを駆使した映像表現。ハリウッド映画にも引けを取らないレベルで、機械化された二人の身体もそうだが、とりわけ昼間の新宿で繰り広げられるクライマックスの空中戦には驚かされた。5年前に公開された実写映画版『ガッチャマン』でも、あえて明るい日中のCG表現に挑んでいたが、当時と比べると日本のVFX技術もここまで来たか!と隔世の感がある。

 否、技術だけではないだろう。佐藤監督は、初期の『修羅雪姫』でも趣向を凝らしたアクション演出を見せていただけに、モーションキャプチャーや特殊メイク、あるいはCGチームに白組が入っていることからミニチュアなども駆使されているに違いない。さらには、日本のロボットアニメで培われた技も投影されている気がする。たくさんの創意工夫によって生まれた日本映画離れしたアクションは、ハリウッド映画好きが見ても満足のいく出来栄えだと思う。★★★★☆(外山真也)

監督:佐藤信介

原作:奥浩哉

出演:木梨憲武、佐藤健

4月20日(金)から全国公開

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