STCC:2018年体制続々確定。ゴルフGTIは約半数の大増殖

 TCR規定採用2年目のシーズンを迎えるSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権は、王者のロバート・ダールグレンを筆頭にWorldRX世界ラリークロス選手権王者のヨハン・クリストファーソンのフル参戦など総勢21台のエントリーが確定するなか、2017年も王座を争った大ベテラン、フレデリック・エクブロムが強豪ウエスト・コースト・レーシング(WCR)から参戦することが発表された。

 2017年のTCR規定初年度は、クリストファーソン・モータースポーツ(KMS)から散発的な数戦のエントリー契約でシーズンインしたエクブロムは、最終的にダールグレンとの王座争いを繰り広げてランキング2位を獲得。そのリザルトを経て、今季は1998年に最初のSTCCタイトルを獲得した古巣に復帰してシーズンを戦うことを決断した。

「私自身は、ドライバーとして何も諦めてはいないし、WCRから信頼を得られたことは本当に幸せで光栄なことだと思っているよ」と、契約発表に際して喜びを語ったエクブロム。

 これまで3度のSTCC王座を経験してきたこのベテランは、2008年シーズンにランキング2位をともにして以来のWCR復帰となり、10年越しの古巣復帰に向けても「ここでのミッションはとてもシンプルなものだ」と意気込みを語った。

「私はWCRのために勝利し、彼らとともに新たなSTCCタイトルのコレクションを加えるためにここにいる。私はかつてのチームと一緒にSTCCでもっとも楽しく、ベストなシーズンを過ごした経験を持っているし、ここへ戻ってくるのは本当にモチベーションが高まる思いだ」

 エクブロムはWCRの3台目となるフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブすることとなり、すでにアナウンスされているアンドレアス、ジェシカのバックマン兄妹とともにシリーズを戦う。

「エクブロムに我々の3台目のマシンを託すことができて、本当に本当に良い気分だ」と語るのは、昨季までTCRインターナショナル・シリーズを戦い、今季からSTCCへの復帰を決断したWCRチームマネージャーのディック・ジョンソン・ウィグロース。

「彼と私たちの間には長年にわたる強い歴史が存在しており、つねにチームで素晴らしい活躍を演じてくれていた。すでにこの新シーズンに向けてもそれは作用していて、エクブロムを迎えたことでチーム全体のモチベーションが上がっていることが手に取るようにわかる」

「彼のツーリングカーでの豊富な経験は、アンドレアスとジェシカの成長を大いに助けることになるだろうし、我々がSTCCへの復帰するにあたって最高のドライバーラインアップになったと思うよ」

 一方、昨季までエクブロムが所属したKMSには、すでに発表済みのWorldRX王者クリストファーソンと、ルーキーのヒューゴ・ネルマンに加えて、3台目のドライバーにニクラス・オスカーソンが加入することもアナウンスされた。

 昨年はチームAテクニークのキア・シードTCRでSTCCデビューを果たした19歳のルーキーは、開幕戦のクヌットストープでポイント獲得を果たす有望なデビューを飾ったにもかかわらず、チームの運営方針やトラブルに巻き込まれ不遇のシーズンを過ごしてきた。

 さらに2018年に向けてもチームAテクニークの活動計画が頓挫したため、その去就は宙に浮いた状態となっていたなか、KMSはこのティーンエイジャーにチャンスを与える決断を下した。

「ほんの一週間前まで、僕にはなんのプランもない状態だった。これはモータースポーツの世界がいかに素早いスピードで物事が変化するかを示しているようだ。こうしてKMSでチャンスを得られたことは信じられないぐらいだよ」と、オスカーソン。

 KMSのチーム代表を務めるヨハンの父、トミー・クリストファーソンは「昨年の彼は自らの力ではどうにもならない苦労ゆえに成績を残すこともままならなかった。我々のバックアップで彼がどんな活躍を演じてくれるか、今からそれを見るのが楽しみだよ」と期待を語っている。

 また昨季STCCデビューを果たし、チームズランキングで6位に入ったレストラップ・レーシングも、2018年仕様のマシンカラーリングを公開し、アンドレアス・ウェルナーソン、オリバー・ソダーストームの2台体制でエントリー。

 この発表により、エクブロムを含めて2018年のSTCCグリッドには総計11台のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRが並ぶことが確定し、全エントリー台数の約半数を占めることとなった。

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