フェストアルピーネ、水素生成の試験プラント建設 来春稼働へ製鉄工程のCO2削減

 オーストリアの高炉メーカー、フェスト・アルピーネは16日、リンツ製鉄所で水素生成の試験プラント建設へ本格着工したと発表した。製鉄工程でCO2排出を減らせる水素活用を目指すもので、来春までにフル稼働させる予定。

 フェストによると、同機は再生可能エネルギーで発電した6メガワットの電力を用い、水を電気分解する世界最大規模の水素生成プラントという。フェストのほかシーメンスやオーストリア電力大手のフェアブント、同国研究機関のK1メット、オランダ研究機関のECNと共同で進める「H2フューチャー」プロジェクトの一環。

 欧州ではCOP21やパリ協定に基づき、2050年までにCO2の排出量を80%削減するための施策が進んでいる。フェストのウォルフガング・エダー会長は声明で、CO2フリーの水素活用技術の開発へ長期的に取り組み、鉄鋼業の脱炭素化を徐々に進めていく方針を示した。

 フェストは米国のテキサス州で鉄源拠点として直接還元鉄(DRI)プラントを立ち上げ、石炭でなく天然ガスを使うことでCO2削減に取り組んでいる。最終的には「グリーン水素」による製鉄法でCO2フリーを目指していく考え。

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