メタルテック、「衛生タンク用温冷媒シート」開発 NSSCなどと共同二相鋼でコスト削減

 パンチングメタルメーカー大手のメタルテック(本社・東京都墨田区、社長・木野裕貴氏)は、新日鉄住金ステンレス、NSステンレス、大阪サニタリー(本社・大阪府摂津市)の3社と共同で、二相ステンレス鋼を使用したサニタリー(衛生)タンク用の「ディンプル型ステンレスシート」をこのほど開発した。タンク設置までのトータルコストを2割以上削減できるとしている。

 使用する鋼板は二相ステンレス鋼のSUS821L1で、SUS304に比べて強度(耐力)が約2倍あることから板厚の薄肉化が可能。タンク設置までのトータルコストは2割以上の削減が見込める。またSUS821L1は熱膨張や価格安定性にも優れるとしている。

 同社ではベルギー製パンチングマシンと独自開発の金型を使用し、ドット状に表面をへこませるディンプル加工(ディンプル径φ50、ピッチφ80)とパンチング加工を一工程で処理する技術を確立。製品の板幅サイズも5巾(1524ミリ)まで対応し、ディンプル型ステンレスシートの量産化に成功した。

 ディンプル型ステンレスシートは、乳飲料などを保存するサニタリータンクの外壁を包む温冷媒用の鋼板。サニタリータンクのジャケット仕様条件として、比較耐圧テストは設計耐圧(要求の多い私用圧力から設計)を超えた破断限界まで実施、塑性変形がSUS304よりも少ないことを確認した。また大阪サニタリーの協力の下、ディンプルの加工性や溶接性などの条件もクリアした。

 同社はサニタリータンクの市場規模は年間およそ500トンとみており、食品・飲料メーカーやタンクメーカーに販売し、将来的には年100トン程度のシェア獲得を目指す方針だ。

 なお同製品を使用したサニタリータンクは、6月12~15日に東京ビッグサイトで開催する「2018国際食品工業展」で大阪サニタリーのブース内に出品する予定。

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