新日鉄住金、現場の安全見守りシステムを全製鉄所で展開 IoT活用し異常を検知

 新日鉄住金は製鉄所で働く現場作業員の安全を見守る新システムを国内の全製鉄所に導入する。あらゆるものがインターネットにつながる「IoT」を活用し、作業者の異常などをいち早く検知するシステムで、先行して導入していた君津、名古屋の両製鉄所で昨年度までに一定の効果を確認したことから水平展開を決めた。2020年度末までに順次導入を進める計画で、さらなる機能拡充も検討する。

君津、名古屋で効果確認

 松村篤樹執行役員(業務プロセス改革推進部長)が19日、同社のIT(情報技術)戦略について都内で会見し明らかにした。

 同システムは「安全ITソリューション」。現場の作業者に持たせるスマートフォンや設備のセンサーなどからさまざまなデータを収集。作業者の三次元位置情報やバイタルデータ(生体情報)などをプラットフォーム上で統合管理することにより、現場から離れた事務所など外部からも現場の作業者の安全を見守ることができる。1人での作業や高所作業をより安全にこなせるようにする。

 中核IT子会社の新日鉄住金ソリューションズが開発したシステムをベースとしており、若手作業者の作業支援などにも活用する。

 新日鉄住金は国内に12製鉄所16拠点を構えている。今月から大分製鉄所(大分市)で同システムの導入を始めており、今後2年程度かけて大型の製鉄所から順次導入を進めていく。まずは直営現場の作業者を対象とし、今後協力会社にも適用を検討していく考え。

 今後は同システムの機能の拡張も進める方針。危険な場所にいる作業者を検知し、携帯端末のアラームで警告を発するといった新機能の追加も検討する。

© 株式会社鉄鋼新聞社