平成ベストナインを選ぶ 優秀で個性的な遊撃手、NO1は松井稼頭央?

西武・松井稼頭央【写真:荒川祐史】

平成時代に遊撃で1000試合以上出場した選手は16人

 来年4月で平成は終わり。31年に及ぶ平成時代に、幕が下りる。プロ野球では、平成に入って多くの選手が活躍した。平成時代のベストナインを考えていきたい。

 内野手の中でも高い身体能力を求められる遊撃手。内野の要ともいえるこのポジションで平成時代に1000試合以上出場した選手は16人いる。時代順に紹介しよう。タイトルと賞は平成時代以降の遊撃手での受賞に限定、実働年と打撃成績は遊撃手以外での数字も含む。2018年4月15日まで。

◯野村謙二郎(平成元年~17年 広島)遊撃1235試合出場
通算成績 2020安打169本765点250盗 打率.285
盗塁王3回、最多安打3回、ベストナイン3回、ゴールデングラブ1回

 当初は外野も守ったが、2年目から遊撃手に。赤ヘル軍団のリードオフマンとして3割を3回。安打製造機として活躍。平成12年から三塁にコンバートされた。

◯川相昌弘(平成元年~18年 巨人)遊撃1296試合出場
通算成績 1199安打43本322点47盗 打率.266
ベストナイン1回、ゴールデングラブ6回

 昭和58年にプロ入り。当初はユーティリティだったが、平成元年に正遊撃手に。犠打の名手として最多犠打7回。通算533犠打はMLB記録をも抜く。守備でも俊敏だった。

◯田中幸雄(平成元年~19年 日本ハム)遊撃1108試合出場
通算成績 2012安打287本1026点40盗 打率.264
打点王1回、ベストナイン4回、ゴールデングラブ5回

 強打の遊撃手。平成7年にはイチロー、初芝清と打点王を分け合う。「ミスターファイターズ」として長く活躍。チームメイトに同姓同名の投手がいた。

◯石井琢朗(平成元年~24年 大洋・横浜、広島)遊撃1767試合出場
通算成績 2432安打102本670点358盗 打率.282
盗塁王4回、最多安打2回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ1回

 1767試合は遊撃手としてNPB史上最多出場。投手として入団し、内野手に転向。正遊撃手になったのは平成8年から。平成10年の横浜優勝時には選手会長としてチームを引っ張る。

◯久慈照嘉(平成4年~17年 阪神、中日、阪神)遊撃1098試合出場
通算成績 811安打6本153点51盗 打率.257
新人王

 広い守備範囲を誇った遊撃手。1年目から正遊撃手となり新人王。同時期にライバルが多く賞には恵まれなかったが守備、つなぐ打撃の名手として活躍。阪神に戻って引退。

西武で圧倒的な成績を残した松井稼頭央

◯金子誠(平成6年~26年 日本ハム)遊撃1184試合出場
1627安打84本620点113盗 打率.256
ゴールデングラブ1回

 3年目に新人王に輝くが当時は二塁手。平成14年、30歳で田中幸雄の後釜として遊撃にコンバートされ平成21年ゴールデングラブ賞。強肩と広い守備範囲でならした。

◯松井稼頭央(平成6年~ 西武、MLB、楽天、西武)遊撃1531試合出場
通算成績 2085安打201本835点362盗 打率.291
最多安打2回、盗塁王3回、MVP1回、ベストナイン7回、ゴールデングラブ4回

 PL学園時代は投手。西武入団後に遊撃手に。走攻守揃った選手として活躍。平成10年MVP。MLBでは二塁手。NPB復帰後、楽天を経て今季から古巣復帰。

◯宮本慎也(平成7年~25年 ヤクルト)遊撃1452試合出場
通算成績 2133安打62本578点111盗 打率.282
ゴールデングラブ6回

 ヤクルトの内野のリーダーとして長く活躍。つなぐ打者として2001年にはシーズン67犠打のNPB記録も。平成21年に三塁手に転向し、三塁でもゴールデングラブを受賞。

◯小坂誠(平成9年~22年 ロッテ、巨人、楽天)遊撃1204試合出場
通算成績 1069安打19本303点279盗 打率.251
盗塁王2回、新人王、ゴールデングラブ4回

 イチロー世代。新人の平成9年に遊撃手としてフル出場。小柄だが「牛若丸」と言われた俊敏な守備で鳴らした。俊足、さらに最多犠打2回と小技の名手でもあった。

◯井端弘和(平成10~27年 中日、巨人)遊撃1525試合出場
通算成績 1912安打56本510点149盗 打率.281
ベストナイン4回、ゴールデングラブ7回

 平成13年に正遊撃手。翌年から荒木雅博と二遊間を組み「アライバコンビ」として中日の黄金時代を支える。打者としても3割3回。巨人に移籍後引退。

◯二岡智宏(平成11年~25年 巨人、日本ハム)遊撃1089試合出場
通算成績 1314安打173本622点48盗 打率.282
ベストナイン1回

 広角打法で鳴らした強打の遊撃手。3割を2度マーク。遊撃手としては強肩で知られた。平成20年に三塁手にコンバートされる。翌年日本ハムに移籍後は主として指名打者。

◯川崎宗則(平成12年~29年 ダイエー・ソフトバンク、MLB、ソフトバンク)遊撃1069試合出場
通算成績 1376安打27本373点267盗 打率.292
盗塁王1回、最多安打1回、ベストナイン2回、ゴールデングラブ2回

 平成15年に正遊撃手に。俊敏な守備とシュアな打撃で活躍。ムードメイカーだった。2012年にイチローを追ってMLBへ。アメリカでも人気者に。2017年にソフトバンクに復帰するもこの春退団。

坂本は攻守両面でリーグ屈指の存在に

◯中島宏之(裕之)(平成13年~ 西武、米マイナー、オリックス) 遊撃1166試合出場
通算成績 1697安打189本882点143盗 打率.296
最多安打1回、最高出塁率2回、ベストナイン4回、ゴールデングラブ3回

 西武時代は打てる遊撃手の代表格として活躍。5年連続を含む6度の3割をマーク。アメリカではMLB昇格を果たせず。帰国後はオリックスで主として一塁、三塁を守る。

◯鳥谷敬(平成16年~ 阪神)遊撃1745試合出場
通算成績 2021安打137本798点129盗 打率.282
最高出塁率1回、ベストナイン6回、ゴールデングラブ4回

 2年目から正遊撃手に。守備範囲の広い俊敏な守備と、広角打法、出塁率の高さで貢献。NPB史上2位の1907試合連続出場を継続中。平成29年から三塁手、平成30年は二塁手。

◯坂本勇人(平成19年~ 巨人)遊撃1411試合出場
通算成績 1578安打165本648点139盗 打率.287
首位打者1回、最多安打1回、最高出塁率1回、ベストナイン3回、ゴールデングラブ2回

 プロ入り2年目に正遊撃手となり、長打もある勝負強い打撃と、安定感のある守備でリーグ屈指の存在に。平成28年、セ初の遊撃手での首位打者に。20代で1500安打をクリア、2000本、2500本の期待もかかる。

◯大引啓次(平成19年~ 日本ハム、オリックス、ヤクルト)遊撃1151試合出場
通算成績 937安打42本328点66盗 打率.249

 法政大時代から好守強打の遊撃手として知られる。プロ入り後は守備のスペシャリストとして広い守備範囲と失策の少ない堅実なフィールディングで活躍中。

 上記以外に平成になって700試合以上遊撃を守った選手は9人いる。※は現役。成績は平成以降の通算成績。

小川博文 992試合(1406安打100本597点64盗 打率.266)
池山隆寛 919試合(1245安打254本755点90盗 打率.267)
梵英心 853試合(990安打74本357点135盗 打率.264)
今宮健太 837試合(700安打42本267点58盗 打率.244)※
塩崎真 777試合(820安打35本261点47盗 打率.258)
鳥越裕介 774試合(504安打21本164点49盗 打率.226)
浜名千広 749試合(811安打32本271点112盗 打率.245)
西岡剛 732試合(1189安打61本383点196盗 打率.289)※
吉田剛 712試合(473安打18本166点115盗 打率.246)

 強打者あり、つなぐ打者あり、守備の名手あり、平成時代は優秀で個性的な遊撃手をたくさん輩出している。この中からベストナインを選出するのは難しいが、3人を候補として挙げる。

1位 松井稼頭央
2位 坂本勇人
3位 井端弘和

 松井は西武時代の攻守にわたる活躍が光る。イチロー移籍後の実績では圧倒的。MLB移籍のブランクはあるが、MVP受賞が大きい。坂本は巨人の不動の遊撃手。攻守にわたってチームを牽引している。平成の遊撃手で唯一の首位打者でもある。井端は「アライバコンビ」として強い時代の中日の中心選手。NPB史上屈指の守備範囲を誇った併殺マシンだった。

 若手では今宮健太が成長著しいが、彼は次の時代の名手になるだろう。読者各位の評価はいかがだろうか。

(Full-Count編集部)

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