どんな本を借りますか? 「好きな作家」が最多 長崎市立図書館利用者50人アンケート

 30日は図書館法の公布(1950年)を記念した「図書館記念日」。来館者はどんな本を借りているのだろうか。1日平均4千冊を貸し出す長崎市立図書館(興善町)で50人に聞いてみると(複数回答可)、好きな作家はもちろん、「自分を高めたい」「家族のため」と本を求める人たちが多かった。
 最多は「好きな作家の小説」(22人)。ノーベル文学賞を昨年受賞した長崎出身の英国人作家カズオ・イシグロさんのほか、宮部みゆきさん、小川糸さんらの小説が人気を集めた。
 次点は、教養や知識を身に付ける「自分を高める本」(19人)。
 今夏、韓国で日韓の大学生が両国の歴史文化を学ぶプログラムに参加する大学2年の男性(20)は、韓国語の会話辞典を借りた。プログラムは英語で意見交換をするが、「韓国語を使ってより深い交流をしたい」と1月から独学で勉強を続けている。
 退職後に古典を読むのが趣味になった男性(80)は鴨長明の「方丈記」を手に取った。「時代を越えて受け継がれてきた考え方や知恵に学ぶところが多い」と力説する。
 第3位は、「家族ら身近な人を喜ばせるための本」(9人)。スープのレシピ集を借りた主婦(45)は、今春高校に入学した娘が塾の前に手早く腹ごしらえできるようにと選んだ。「スープなら栄養満点な上、カロリーを気にする娘の要望にも応えられる」という母の愛情だ。
 うつ病に関する本を借りた男性(66)は最近、インターネット上で付き合いのある人から「うつ病かもしれない」と打ち明けられた。「自分も何かの助けになりたい」
 同僚との旅行に備えて「沖縄を特集した旅行雑誌」を借りた女性会社員(24)や、「子どもたちに読み聞かせたい絵本」を選んだ女性保育士(21)も。
 図書館と書店の使い分けについても聞いた。「図書館は、これまで読んだことのなかったジャンルの本に気軽に挑戦する」「図書館で借りた本が面白ければ、本屋で購入している」という人が多かった。図書館は多彩な本との出合いの場となっているようだ。
 全ての人に開かれ、いつでもあらゆる情報を集めたり、本や資料を借りたりできる図書館。あなたが借りたい本も、きっと見つかるはずだ。

本を選ぶ来館者=長崎市立図書館

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