なぜ退任するのか…ヴェンゲル監督、ファンの雰囲気が理由だった

『BBC』は22日、「アーセン・ヴェンゲル監督は、ファンの一体感が欠けていたことが苦痛だったと話した」と報じた。

今季限りでアーセナルを退任することを発表したヴェンゲル氏。契約は1年残っていたが、それを早期に打ち切ることを決断した。

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22年間も指揮してきたクラブを離れることとなった彼は以下のように話し、退任の理由について説明した。

アーセン・ヴェンゲル (ファンは「One Arsene Wenger」と歌っていた)

「ファンが満足している時、私も幸せだ。彼らを幸せにするために苦しむ準備ができている。

もし、時に彼らが私を幸せにしてくれたのなら、もちろん幸せだ。受け入れるだろう。

この22年間で下してきたすべての判断は、アーセナルのためにやったことだ。間違った判断もあったとしても、再優先事項はクラブを良くすることだった。

私はクラブの構造に影響を与えようとしてきた。選手を成長させようとしてきた。プレースタイルや結果も作ろうとしてきた。

その3つを組み合わせるのは、常に容易にはならないものだ。そして、私はすべての面で強さを持ったクラブを離れるのだと信じている。

自分の目標は常にそれを行うことだった。次の20年で更に良くなっていくために、後任の監督にチャンスを手渡す。それが私の願いだ」

(だれがあなたの後任になる?)

「自分が決断することではない。サッカークラブで重要なのは、それぞれが自分の仕事をすることだと思う。

私の仕事は、チームを世話すること、結果を出すこと、移籍マーケットでの収支を保つことだ。

それこそが私のやってきたことだし、次の監督を選ぶことではないよ」

(なぜ退任の正しいタイミングなのか?)

「私は声明を出した。基本的にはそれが全てだ。全体的にいえば、それを出すタイミングではなかったと思う。

シーズンの最後まで戦い続けることにプライオリティを置きたかった。どのようにうまくやっていけるのかということに集中したかった。

もう少し経ったら、それについては話していくつもりだ」

(これまでの経験における感情を統括できますか?)

「できない。入り混じった感覚があるね。

まず言いたいのは、英国サッカー界から称賛を受けられたこと、この国での経験に感謝していることだ。

非常に特別なものだった。サッカーは特別だ。情熱は特別だ。他では味わうことができないものだ。

人生でこれ以上のものは手に入れられないだろうと分かっている。

もちろん、私が20年もプレミアリーグの発展を見ることができたのは、驚くべきものだ。これからも長く続いてほしい。

人々が自分について話している、どうだったかということについて話している。それは少し自分の葬式に出ているような感じで、その点では興味深いね。

もうこれ以上死ぬ必要もないね、このようなことを知ったから!

本当に興味深かった。冗談はさておいて言わなければならないのは、私に良くしてくれた人々皆に感謝したいということだ。

それは我々の仕事だ。私は値するもの以上の称賛を受けてきた。そしておそらく、時に必要以上の批判も受けてきた。

難しいものだったが、同時に素晴らしいものでもあった」

(契約を尊重するポリシーは変わったのか?)

「数分前にいったばかりだよ。私はいつか話す。しかし今は適切なタイミングではない」

(またプレミアリーグで監督はする?)

「君が感情という点について話しているのだとすれば、私にとっては難しいだろうね。

その仕事なしに生きていくのがどのようになるのかはわからないし、今後もないとは言いにくい。

しかし今君に話すとすれば…『どこか他に行きたい』と言うには、私はこのクラブと近すぎる。難しいことだよ」

(退任はショックか?)

「私は完全にこのクラブから離れるわけではないだろう。なぜなら、私が常に優先してきたのがアーセナルだからだ。このクラブをどのように発展させていくのか。

常に近い存在になるだろう。しかし退任は難しいことだ。

人生の22年を与えるものなど、誰にもない。私はこのクラブに最高の年を与えてきたのだ。

46歳でここに来て、週に7日働いた。6日でも、6日半でもなく。22年間、週7日働き続けたんだ!

ただ離れていくことはできない。ありがとうと伝え、さよならを言う。それは当然のことだ」

(引退するのか?他で働くのか?)

「おそらく…わからない。それは私にとって新しいものだ。

アレックス・ファーガソンとも違う。彼はまだクラブにいる。マンチェスター・ユナイテッドにいるのだから」

(コーチングを続けるのか、フロントに行くのか)

「正直に言えば、君にはあまり話したくない。6ヶ月後に『ウソツキ』と言われたくないからね。

今後明確にしていくよ。この状況にどう反応するのか、自分でもよくわからない」

(退任を表明して楽になった?)

「私は疲れてはいないんだ。個人的には、このクラブは世界中でリスペクトされていると信じているよ。イングランドよりも、世界でね。

我々のファンは、団結のイメージを与えてはくれなくなっていた。私が世界中から求めているものを。それが苦痛だった。

このクラブはリスペクトされていると感じている。我々がクラブから与えられるイメージとは異なっていた。私が好むものでもなかった」

(団結とは…)

「これ以上何も言うことはないよ。私はこのクラブが素晴らしいイメージを持っていると感じているし、それが肝心なものだ。

我々はいくらでも話すことはできる。しかしスポーツは勝ち負けがあり、敗北をも受け入れなければならない。それが勝敗よりも重要だ。私にとっては、それが常に心配だった。

アーセナルがどんなクラブかを知ってもらう。アフリカの、中国の、アメリカの、世界中の子供達に。サッカーをしたいと思う人を作っていく。それが我々のクラブが持っている責任だ」

(ファンがクラブを傷つけていた?)

「怒ってはいないよ。そして、愚かな見出しを付けられたくもない。

私はファンに対しても怒ってはいない。ただ、私の個性はクラブについて考えることだと感じているし、それは自分よりも重要なものだ。

それが私の言いたいことだ。ファンについてはなにもないよ。

ファンは満足していなかった。ただ、それが私の仕事であるし、そのようなものとともに生きなければならない。そして、私はこれを受け入れられる。

それがクラブのダメージになったかどうかはわからないが、私が感じているものとは違っていた。

試合には多くのお金が動いているが、クラブのイメージはお金より、結果よりも重要だ」

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