日韓の海女

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 女性が海に素潜りしてアワビやウニなどを漁獲する海女漁。豊かな漁業資源を背景に、日本と韓国で発達した伝統的な漁業文化だ▲対馬のアマチュア写真家、須川英之さん(65)は、2007年に訪れた韓国済州島で偶然海女漁を目にした。小学生の頃、対馬に出稼ぎに来ていた済州島海女と触れ合った記憶がよみがえった▲それから10年。済州島に通い、海女の営みを撮影してきた。神事、出漁、帰途…。このほど自費出版した写真集「海女の群像」は、海に生きる女性たちを、敬意をこめたまなざしで捉えている▲写真集には済州島だけでなく、対馬と壱岐の海女の姿も収録。これら三つの島の海女漁のありさまがよく似ていることが浮かび上がってくる。済州島の海女文化は16年、ユネスコの無形文化遺産に登録されたが、一時期は海女文化の日韓同時登録を目指す動きもあった▲須川さんは対馬日韓交流写真協会会長でもある。一衣帯水の距離にある対馬と釜山の写真家が交流を始めて20年。写真集は韓国の友人が刊行を支援し、釜山で印刷製本した▲人は地図の上にさまざまな境界線を引く。特に日韓の国境線の両側では、時にかまびすしいやりとりが交わされる。ただその線は、現実の海の上では見えない。「海女の群像」はそのことも教えてくれる。(泉)