登録可否の勧告間近 GW客急増? 各自治体で対策 誘導員配置、フェリー増便など

 今夏の世界文化遺産登録を目指す「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本の12資産)について、国際記念物遺跡会議(イコモス)は近く国連教育科学文化機関(ユネスコ)に登録の可否を勧告する。ゴールデンウイーク(GW)直前や最中に登録勧告が出た場合、観光客急増が見込まれる構成資産もあり、受け入れ態勢を強化して準備する自治体も出ている。

 駐車場不足も

 長崎市内8施設を含む「明治日本の産業革命遺産」は2015年5月4日に世界文化遺産登録の勧告が出て、構成資産の「端島炭坑」(軍艦島)や「旧グラバー住宅」(グラバー園)などに観光客が押し寄せた。
 潜伏キリシタン遺産で最も混雑しそうなのが「大浦天主堂」(長崎市南山手町)。市観光政策課によると、昨年のGWは約2万2千人が訪れた。隣接するグラバー園には約4万7千人が入場しており、同課は「大浦天主堂は伸びしろがある」とみる。市は両施設周辺に誘導員を配置し、混乱を避けたい考えだ。
 車で行ける本土の資産は駐車場不足が心配される。マイカーでの来訪者が目立つ「原城跡」(南島原市)。現状では本丸跡近くの空き地に車を止める人が多い。市は誘導員を配置し、少し離れた駐車場から歩いてもらうルート作りを検討している。
 「平戸の聖地と集落」(平戸市)に含まれる春日集落の駐車場は約30台分。市は不足した場合、「住民所有の敷地を駐車スペースとして開放してもらうことも考える」と備えている。

 職員がガイド

 一方、構成資産がある離島の自治体は観光客の一定の増加を予想しつつも、「船や飛行機など交通機関のキャパシティーの問題もあり、爆発的に増えることはない」との見方が大半だ。
 「奈留島の江上集落」「久賀島の集落」がある五島市は、現地で説明するガイド不足が不安視される。担当者は「苦肉の策として市職員が土日に無報酬でガイドを務めなければならないかもしれない」と話す。
 「黒島の集落」(佐世保市)は17年の来訪者が4300人となり、4年前の約4倍に。観光客が既に増加している。GW期間中は相浦港と黒島港を結ぶフェリーを増便。黒島港から黒島天主堂間の無料シャトルバスも走らせて対応する。
 「頭ケ島の集落」がある新上五島町は今月から、上五島空港に車を止めてもらい、シャトルバスで頭ケ島天主堂へ送る「パークアンドライド」を全面導入した。「GWの人出が今後の指標になる」とみて、6月末から7月初めの登録決定時に向けて課題を掘り起こしたい考えだ。

多くの観光客が訪れている「頭ケ島の集落」=新上五島町友住郷

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