遺族「平和の尊さ伝える」 釜霊園で戦没者追悼式 佐世保

 第2次大戦後、フィリピンにあった日本人収容所や引き揚げ途中で亡くなった人が眠る佐世保市江上町の釜霊園で22日、追悼式が開かれ、全国の遺族ら約400人が参列した。

 佐世保釜墓地戦歿(ぼつ)者護持会(宮内雪夫会長)と県、市でつくる実行委主催。釜霊園には、1949年1月にフィリピンから佐世保に着いた引き揚げ船「ぼごだ丸」で運ばれた軍人らの遺体や遺骨、計6500余柱が眠っている。同会は82年に慰霊祭と死没者の遺族捜しを始め、これまでに580柱の身元が判明した。

 追悼式では、黙とうの後、供養塔に市立東明中、江上小、針尾小の児童生徒がおにぎりと水を供え、遺族らが花を手向けるなどして慰霊した。

 宮内会長は「古里に帰ることができないご遺骨が多く存在している。追悼式が永続できるよう努力する」とあいさつ。遺族代表の西村靖二さん(48)=福岡県八女市=は「遺族は高齢化し、追悼式への参加は難しくなっているが、過去の悲惨な戦争から学んだことや平和の尊さを次の世代に伝えることは私たちにもできる」と語った。

供養塔に花を手向けて死者を慰霊する遺族=佐世保市、釜霊園

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