吉浜の須藤愼さん チェーンソーでロシアの街づくり 箱根町・湯河原町・真鶴町

思い出を頼りに下書きなしで削り出した

 湯河原の総合運動公園近くで、ヨーロッパ風の街並みを削り出している人がいる。吉浜在住の須藤愼さん(66)が手にしているのは、小型のチェーンソー。丸太や余った建材を持ち帰ってはエンジンを唸らせて作品にしてきた。

 初めてこの世界を知ったのは4年前。山北町をイベントで散歩していた時にチェーンソーアート作家・蘭二朗さんが彫った恐竜に出会い、感銘を受けて教室に通い始めた。その後フクロウやオナガドリ、ペンギンなど様々な課題にチャレンジ。これまで彫った鳥や動物などは自宅前の畑にカカシのように林立し、まるで青空作品展だ。細い脚やクチバシを削り落としてしまった事もあるが「ばっさりカットでき、彫刻刀にはない気持ち良さがある」。定年退職前に数年間ロシアのモスクワに単身赴任していた経験があり、あの美しい街並みを自宅の周りに再現することを思いついた。材は杉やヒノキ、桜などで、中をくりぬき、夜にはライトアップできる。ロシア正教の教会は宝珠のような丸い屋根が特長で、作品には本物の玉ネギが載っていた。

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